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ミステリの祭典

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二百万ドルの死者
実作スティーヴン・マーロウ

作家 エラリイ・クイーン
出版日1967年01月
平均点4.67点
書評数3人

No.3 5点 虫暮部
(2020/10/16 14:35登録)
 好みのジャンルではないし、これと言った捻りも無いし、旅程の進行につれて物語の背景が変遷するさまは風刺的な気もするけど、もっと上手い書き方があったんじゃないか。ヨースト爺さんのエピソード(の淡々とした描き方)は良かった。

No.2 5点
(2013/08/27 22:55登録)
本作に始まるクイーン名義のペイパーバック・オリジナル作品群はかなりの数にのぼりますが、ホックにダネイが手を貸した『青の殺人』を除くと、二人はほとんどプロットと最終仕上げにOKを出していた程度のようです。小説としての仕上げは他の人にまかせても、プロット作りにはダネイが絡んでいたと思われる(リーがどの程度タッチしていたのかは知りませんが)『盤面の敵』等の作品とは全く異なる状況では、出来ばえや作風云々ではなく、クイーン名義とするには問題ありでしょう。ともかく本作の実作者はマーロウという人らしい…
久しぶりの再読で記憶も薄れていたのですが、それなりに楽しめました。似ている作家を強いて挙げるとしたら、次々に死体が量産されていく思いがけない皮肉な展開はハドリー・チェイス(『蘭の肉体』)でしょうか。よくもこれほどクイーンとは縁のなさそうなプロットを、最初の作品に選んだものです。

No.1 4点 Tetchy
(2011/09/26 22:05登録)
ギャングの大物が遺した二百万ドルもの莫大な遺産を巡って遺産の相続人ミーロ・ハーハなる男を捜しにアメリカ、オランダ、スイス、オーストリアそしてチェコスロヴァキアと探索行が繰り広げられる。
痴呆症となりかつての鋭さの影すらも見えないほど落ちぶれたギャングのボス、バーニーの殺害事件はクイーンでは珍しく、犯罪の模様が書かれている。本格ミステリ作家であることから倒叙物かと思っていたがさにあらず。これがエラリイ・クイーンの作品かと思うほど、冒頭の事件は全く謎がなく、エスピオナージュの風味を絡めた人探しのサスペンスだ。
したがって本作には全く探偵役による謎解きもない。純粋に遺産を巡ってミーロ・ハーハなる男を殺そうとする輩と政治的影響力のあるハーハを利用せんとする者達との思惑が交錯するサスペンスに終始する。

それもそのはずで、本書はクイーン名義による別作家の手になる作品。
だとするとこのロジックもトリックもない作品をどうしてクイーン名義で出版したのか、そちらの方に疑問が残る。

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