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ミステリの祭典

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あんじゅう 三島屋変調百物語事続
三島屋変調百物語

作家 宮部みゆき
出版日2010年07月
平均点6.50点
書評数4人

No.4 7点 ALFA
(2022/03/02 10:47登録)
連作の第二巻。四編からなる怪異譚の後に三島屋おちかの身辺に起きる事件を描いて登場人物のリアリティを増している。
お気に入りは「逃げ水」。日照りの憑神「お旱(ひでり)さん」に憑かれてしまった少年の話。身の回りの水を涸らしてしまうので嫌われた少年が、それなら水に不自由しない船頭になろうと決心するのが可笑しい。怖くない怪異譚。

表題作「あんじゅう」はあたたかく切ないお話。ただ、きっかけとなる直太朗の身の上話とのつながりが悪く冗長。あんじゅうの話だけにしたほうがまとまりがよかったと思うが・・・

No.3 6点 猫サーカス
(2021/02/01 18:02登録)
袋物を商う三島屋夫婦の姪「おちか」が、怖い話や不思議な話を聞く「三島屋変調百物語」の第二弾。といっても前作とのつながりはないので、本書から読み始めても楽しめる。ほぼすべての見聞きに南伸坊のかわいいイラストが掲載されていて、物語と挿絵をセットにしていた時代小説の伝統を復活させた趣向も嬉しい。自分を忘れた村人を恨む土地神「お早さん」にとりつかれた少年を救う方法を考える「逃げ水」や、男が怨念を込めた仏像が、桃源郷のような隠れ里を恐怖に包む「吼える仏」は、自然や霊魂を崇拝する素朴な信仰が、いつしか狂言へと転じる恐怖を活写しているので、カルトが生まれる原因や、宗教戦争がなくならない理由といった現代社会の闇ともリンクしているように思えた。また双子の孫を嫌う祖母の妄念が、その死後も平穏な家庭に暗い影を落とす「藪から千本」は、逃げ場のない家庭で、人間ならだれもが持っている負の感情が奇妙な現象を引き起こすので、恐怖がリアルに感じられるのではないだろうか。ただ因縁なる屋敷に住む人外のモノ「くろすけ」と老夫婦の交流を描く表題作「暗獣」や、脇役として物語のあちこちに顔を出す明るく無邪気な少年たちの活躍、そしてエピローグに用意された心温まる結末は、人と人とが信頼の絆で結ばれれば闇に打ち勝つことが出来るという強いメッセージとなっており、読後感は心地よい。

No.2 7点 ボンボン
(2015/11/07 23:49登録)
4話ともずっしりと重い。一冊として読むのに少し疲れた。
人間の身勝手、心の中の”鬼”の部分を含めての世の中だ、そういうものも様々身に浴びて、人とかかわっていくことで一人前になっていくのだ、というテーマがよりはっきりし、本シリーズの世界観が落ち着いてきたようだ。
どの話もいいが、特に表題作の「あんじゅう」は、なかなか奇抜な思い切った設定。くろすけの手触り、リアルな質感がすごい。結構荒唐無稽なのに深く納得でき、上質な余韻を残す。

No.1 6点 白い風
(2011/09/02 18:42登録)
どの話も怖いようなそれでいてちょっとほっこり出来るような話で、どれも上手く次作につながっていて楽しめました。
それに出てくるキャラも個性的でいてどこか憎めないんだよね。
流石に100話は無理だけど、この後の続編もどんどん出して欲しいね。
ばんば憑きでは1話載っているけどね。

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