home

ミステリの祭典

login
図書館の死体
図書館館長ジョーダン・ポティート

作家 ジェフ・アボット
出版日1997年03月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 ミステリ初心者
(2022/07/29 18:41登録)
ネタバレをしています。

 裏表紙アガサ賞受賞作品と書いてありましたが、なんとなくプロットが似ている気がしなくもなかったです。事件を追うごとに、登場人物たちに隠された秘密が暴かれていって…最後に意外な動機と犯人があきらかになる系です。
 緻密なロジックによる犯人当てや、アリバイトリック的なものはありませんでしたが、2時間ドラマのようなテンポの良さを感じました。非常に読みやすかったです。
 自身の指紋しかついていない凶器など、不利な状況に追い込まれる主人公が素人探偵になって事件を推理することや、恋愛要素、姉や甥や本当の父との家族愛など、どこかD・M・ディヴァインを思わせるような要素もありました(他の方も書かれていることですが(笑))

 推理小説的要素というと、本格推理小説としてみた場合、やや薄味でした。先にも書いた通り、ヒントが少ないため犯人当てができないことや、アリバイトリックを解く楽しさはありませんでした。あくまで、動機当てや意外な犯人を楽しむ作品でした。

 総じて、さまざまな人間模様、感動的なラストなど、物語的な厚みを感じる作品でした。ただ、本格好きの私からすると、もう少し、読者に解ける問題を提示するような作品がみたかったです(笑)。

No.2 5点 nukkam
(2016/10/01 05:56登録)
(ネタバレなしです) 米国のジェフ・アボット(1963年生まれ)による1994年発表のデビュー作で、ジョーダン・ポティート(Jordan Poteet)4部作の第1作です。主人公の職業を図書館長に設定してあるのでいわゆるビブリオ・ミステリーかと思いましたが本書を読む限りではその雰囲気は少ないです。事件に巻き込まれた主人公が容疑者たちを調べながら真相にたどり着くという、よくある図式のプロットですが単にアマチュア探偵の活躍を軽い文体で描いただけの本格派推理小説ではありません。主人公が時には傷つきながらも成長していくという、英国のD・M・ディヴァインの作品風な要素もあります。残念ながらディヴァインほどの緻密な謎解きではありませんが被害者の残したメモに関わる謎解きは(聖書の知識がなくても)それなりに楽しめます。

No.1 6点 kanamori
(2011/10/18 18:46登録)
テキサス州の田舎町ミラボーの若い図書館長、「ぼく」ことジョーディ・ポティートを探偵役に据えた本格ミステリ。
アルツハイマーの母親の看護のため都会での仕事を捨てて故郷に帰ってきた主人公という設定ですが、そういったシリアスな側面は抑え気味で、ユーモアや皮肉を交えたジョーディの語り口はライトで読みやすいです。
被害者の残した”容疑者リスト”に基づく素人探偵の調査過程で一旦情報を整理してくれているなど、読者に対する配慮も怠りないのですが、その人物を犯人と特定するには材料が乏しいように思います。
レギュラーとなる登場人物はなかなか魅力的ですし、感動的なラストもよかったので、2作目以降に期待しよう。

3レコード表示中です 書評