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ミステリの祭典

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五色沼黄緑館藍紫館多重殺人

作家 倉阪鬼一郎
出版日2011年09月
平均点4.67点
書評数3人

No.3 3点 Kingscorss
(2020/09/27 13:11登録)
泡坂妻夫さんのアレで既にこの手の仕掛けは初体験ではないが、完成させた労力にはただただ賛美の拍手を送りたい。

…が、それ以外は少しも面白くなく、小説としてはかなりダメダメレベルでつまらない。仕掛け有りきで作っている話なのである程度はしょうがないとはいえ、最後の方のメタ視点での謎解きに行くまではただただ読んでて苦痛。

個人的にはバカミスはかなり好きなんですが、ここまでメタ視点でどう?この仕掛けすごいでしょ?気づいた?ここにもあるよ!こんなにもあるよ!みたいな書き方されると逆に食傷すぎて嫌悪感が出てきてしまいます。なんというかバカミスというよりは(小説部分がありえないぐらい内容が薄っぺらいのも手伝って)ただの言葉遊びのゲームブックみたいに感じました。

泡坂さんのアレみたいに最後の最後でヒントだけもらってしれっと気づくほうが衝撃が大きいし、効果もあると思うんです。この本みたいに一から十まで作者に教えてもらって解説までされると、親切の押し売りみたいでありがたくはなく、途中からただの自慢に見えてきてしまい、すごいものもすごいと感じなくなってきます。

小説としてはコレでもかと言うぐらい内容がうすっぺらくて1点。仕掛けの労力には+2点の3点で。

No.2 7点 名探偵ジャパン
(2017/06/27 19:33登録)
ちょっと何をとち狂ったのか、倉阪の「バカミスシリーズ」を二冊連続で読むという暴挙に走ってしまいました。先に読んだ「三崎黒鳥(以下略)」の仕掛けが強烈に印象に残ったまま読み始めてしまったもので、「ある仕掛け」には早々と気が付いてしまいました。もうそうなったら大変。「あ、ここにも……ここにもある。凄い! 全部にある!」と、そちらにばかり気が行って、内容が頭に入ってこない(笑)
本作も凄かったのですが、これは「バカミス」のやりすぎ、つまり「バカやりミス」の領域に突っ込んでしまっているのではないでしょうかね。倉阪鬼一郎、今回はとばしすぎ(今作の著者近影もマラソンでの疾走姿でした)。
二冊続けて読んで、何だか疲れました。「バカミス」は、用法、容量を守って正しく読むべきですね。
結論。「バカミス」は年に一冊くらいが適量です。

No.1 4点 kanamori
(2011/09/30 22:30登録)
今年も出ました!メタでおバカな叙述ミステリの第4弾。
唐草模様で彩られた雪中の館を舞台に4人の招待客が次々と殺されていく・・・・。多重構造の館で起こる多重殺人に探偵役の多重解決、おまけに犯人は多重●●だったという「多重」づくしですが、ミステリ的には早々に収束させ、またまた作者の労力は別の所へ向いています。
これまた文庫化不可能な仕掛けでした。うぅ~ん、唐草模様、からくさ、カラクサ・・かぁ(笑)。

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