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ミステリの祭典

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探偵宣言
森江春策シリーズ

作家 芦辺拓
出版日1998年03月
平均点6.17点
書評数6人

No.6 6点 nukkam
(2017/01/10 01:36登録)
(ネタバレなしです) 「殺人喜劇の」で始まるタイトルを付けた7作品を収めた1998年発表の森江春策シリーズ第1短編集です。森江の高校生時代から弁護士時代までの年代記的な要素があり、最後の「殺人喜劇の森江春策」では短編集全体にまたがる趣向が用意されている連作短編集でもあります。講談社文庫版のあとがきによると当時は連作短編集が次々に発表されていたらしく、後発ゆえの挑戦意欲がにじみ出ている力作です。過去の古典的ミステリーの懐古或いは発展を意識しているのではと思わせる作品があるのはこの作者ならでは。「殺人喜劇の時計塔」は高木彬光の「わが一高時代の犯罪」、「殺人喜劇の迷い家伝説」は泡坂妻夫の「砂蛾家の消失」を連想させます。もっとも「殺人喜劇のニトロベンゼン」あたりになるとアントニイ・バークリーの「毒入りチョコレート事件」(1929年)のパロディー趣向が楽しいものの、バークリー作品を読んでいない読者だと置き去りにされてしまいそうです。中編の「殺人喜劇のXY」も大胆な仕掛けはなかなか印象的なのに難解なダイイング・メッセージの謎解きが蛇足に感じられてしまうなど、作者の意欲が時に空回りしています。

No.5 5点 シュウ
(2008/12/05 20:38登録)
初期の作品を集めた連作短編集ということで全体的に小粒な内容ではあったのですが、
特に「殺人喜劇のXY」が最初期の作品ということもあってか、とんでもなく読みにくく、内容が頭に入ってこない上に分量があり、
解決編も面白くないので非常に退屈でした。最後の「殺人喜劇の森江春策」もそれほど大した仕掛けがなくちょっと期待はずれだったかな。
やはり芦辺拓は2000年前後あたりから急成長した作家だったんだなと再確認しました。

しかし毒入りチョコレート事件のパロディで芦辺オールスター総出演の「殺人喜劇のC6H5NO2」や、バカミス寸前な真相が楽しい「殺人喜劇の鳥人伝説」など
読んで損はない作品もありますし、「殺人喜劇の迷い家伝説」の駄洒落刑事にも楽しませてもらいました。
つくづく「殺人喜劇のXY」さえもっと読みやすく書き直してくれれば読後の印象が変わったのにと思わずにはいられません。

No.4 6点 ギザじゅう
(2004/05/03 22:43登録)
芦辺拓の特徴である、いき過ぎた技巧が長編だけでなく短編にまで出ている。あまりに技巧的なまでに解決を読み返さないと理解しづらく、短編としてはあまり上手いとは言い難い出来だった。
「殺人喜劇の迷い家伝説」で家屋消失に挑んだのは嬉しいが、泡阪妻夫の「砂蛾家の消失」や二階堂黎人「ロシア館の謎」(どちらも傑作)のような一発トリックでないのは残念。
「殺人喜劇のXY」はダイイングメッセージに何通りもの解決をつけるのはいいが、中国語を利用した物ばかりで面白みには欠ける。
最後の「殺人喜劇の森江春策」も連作の仕掛け的な作品で、出来はあまりよくない。その仕掛けも個人的には好きだけど、あまりいい働きをしているようには思えない。
こんな作品を書いてしまうところが、芦辺拓の良いところであり、悪いところでもある。

No.3 9点 三毛猫
(2002/04/13 01:48登録)
読み応えがある短編集。さすがの一言です。

No.2 3点
(2001/09/10 12:15登録)
文章が私に合わなかったのか、登場人物の名前が変わっているな等つまらぬところも気になってしまいました。私的に最後の作品が一番×。

No.1 8点 すー
(2001/06/28 00:07登録)
上質な短編集..長篇よりも、短編向きか?

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