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ミステリの祭典

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午前零時のフーガ
ダルジール警視

作家 レジナルド・ヒル
出版日2011年01月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 8点 ことは
(2019/11/12 00:34登録)
あぁ、とうとう(既訳の)ダルジール・シリーズを読み終わってしまった。
今回も(タイトル通り)フーガのように重層的なプロット。同一時間を並行的に4つくらい進行させる。作者が70歳過ぎの作品なのに、全然耄碌していないなぁ。もっと生きて新作を書いて欲しかったよ。
ダルジールは、前々作の怪我から少しずつ調子を取り戻し、本作のラストで完全復活という感じ。次作があれば、またダルジールの活躍が見れたのにと思う。
最終章は、ノヴェロとの会話でしんみりして、パブで締めくくりと、いい感じだし、エピローグも「そうくるかぁ」という感じでよい。
シリーズでも上位の出来です。
でも、なんであまり読まれていないかなぁ。このサイトで(ヒル作品全体で)この投稿数なのは寂しい。英国小説らしい皮肉めいたユーモアが全編にきいていて、読んでいる間、実に楽しいのに。
例えば、7年前の事件に関わりを持たされたダルジールの台詞がこう。
「このショーは7年もロングランを続けていて、わたしはたった今、舞台の袖から迷い込んだばかりだ」
ジャンル小説にくくれないからかもしれない。「完璧な絵画」以降のシリーズは、謎解き/警察小説のテイストの群像劇になっているからなぁ。
ここはひとつヒル推しで、こつこつ書評を書いていこう。

No.2 4点 nukkam
(2017/01/01 02:29登録)
(ネタバレなしです) 2009年発表のダルジールシリーズ第22作でヒル(1936-2012)の最後の作品です。本格派推理小説ではなくスリラー小説に分類されるべき作品でしょう。周囲の反対を押し切って職場復帰したダルジールですが仕事をすると3、4時間でくたくたに疲れてしまうなどまだ本調子ではありません。そんな彼が元警部の妻から7年前に失踪した夫のことで相談を受けるのですが、その彼女を暴力的手段を辞さない悪の手先が監視しています。犠牲者を出してしまい、何も知らされていなかったパスコーは激怒します(どっちが上司かわかりませんね)。でも終盤のクライマックス直前では「二人は廊下を走っていった、パーティーへ向かう大きな子供って感じでな」と名コンビ復活です。わずか1日の出来事の中で7年前に何があったのかまでさかのぼる複雑なプロットですがヒルとしては意外と読みやすいです。下品な会話がちょっと多すぎるのが好みに合いませんでしたが。

No.1 6点 kanamori
(2011/02/16 17:51登録)
ダルジール警視シリーズ、40年以上続いているシリーズの最新22作目。
本格的に職場復帰することになったダルジール。出勤途上に曜日を勘違いしていることに気づいてからの長~い日曜日の一日が始まります。
今回のテーマは”生れ変り”。まさに遁走曲のごとく、同一場面が多視点で繰り返し描写され、物語がなかなか進行しないのでじりじりさせる側面がありますが、各章の始めに挿入された何者かのモノローグが意味深で、それが最終章で判明するもう一つの”生れ変り”につながる構成が秀逸でした。

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