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ミステリの祭典

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巨匠を笑え
パロディ集

作家 ジョン・L・ブリーン
出版日1984年07月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2021/05/29 00:03登録)
(ネタバレなしです) 1967年から1981年にかけて発表された20作に新作2作を加えて1982年に出版されたパロディ短編集です。ちなみにハヤカワ・ミステリ文庫版はオリジナルが日本であまり知られていないという理由で2作品がカットされてしまい20作品が収められてます。私は本格派ばかりを選り好みしている偏狭な読者で、エド・マクベインやディック・フランシスやダシール・ハメットをそもそも読んでいないのでそれらのパロディ作品がどれだけオリジナルの雰囲気に近いのか全くわかりませんでした。本格派ではエラリー・クイーン風の「リトアニア消しゴムの秘密」でタウンという人物に向かって「これは災厄(カラミティ)だ、タウン」と言わせてるのは(クイーンの某作品を知る身としては)笑えましたが。クリスティー風の「2010年のポアロ」はSF設定を謎解きに巧妙にからめてますが時代背景を原典と変えているパロディーは好き嫌いが分かれるかも。ホック風の「消えゆく町の謎」はある意味腰砕けのトリックですが、登場人物をがっかりさせる先回りのユーモアで読者を上手くはぐらかせていますね。

No.2 5点 ボナンザ
(2014/07/08 17:54登録)
黄金時代から現代へかけての巨匠の作風をパロディした短編集。
笑いのツボを押さえたユーモア作品。

No.1 6点 kanamori
(2011/03/24 18:23登録)
パロディ・ミステリ短編集。原書から日本で馴染みのない作家の2編を除いて、20編収録されています。

個人的ベストは、アシモフ風「白い出戻り男の会」。”黒後家蜘蛛の会”をパロるとともに、ロボット工学三原則の裏をつくトリックまで設定していて一応本格ミステリになっている。

他には、独特の美文調と街を擬人化した文章のエド・マクベイン風「混みあった街」と、数行ごとに出て来るしゃれた比喩表現と複雑な家族関係を描いたロス・マク風「魔の角氷」の2編は、その文体模写ぶりを笑え。
ディック・フランシス風の「重傷」はタイトルを笑え。
ディクスン・カー風「甲高い囁きの館」は、密室トリックのバカミスぶりを笑え。

その他の、クイーン、クリスティ、ハメット、エドワード・ホック等はいまいち笑えなかった。翻訳は三人の訳者で分担していますが、翻訳ミステリのパロディの良否は、どうしても翻訳者の技量に左右されるようだ。

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