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ミステリの祭典

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蠅の王

作家 ウィリアム・ゴールディング
出版日1965年01月
平均点5.00点
書評数4人

No.4 5点 虫暮部
(2024/01/17 12:02登録)
 奇妙な手触りの小説だ。
 孤島に漂着した少年達。そこに至るまでの説明は殆ど無し。人数も経歴も不明。都合良く温暖で、食物も手に入る環境。
 それはまるで、或る瞬間に突然実体化されたような、しがらみの無い箱庭。“人間のあり方を追求した” のは確かだろうが、私には人間を超えた高位知性体がその為の実験観察をしているように思えた。“ような” ではなく本当に孤島と少年達を地球と言う実験室に創ったのである。
 と言う視点で読むと、“蠅の王” の台詞は単なるイメージではなく実際に音声として存在したのだろうし、ラストに登場するアレもその何者かの采配だ。メタ的には完全にSF。
 以上は多分に曲解だけれど、私にとってはプラスに働いた部分。

 以下はしっくり来なかった部分。
 少年達の前半の言動が全然リアルではない。危機感の無さ。蛮人ごっこなんてするか?
 暴走の始まりも、何故あの程度のことがきっかけになったのか、または逆にあの時点までは何故平気だったのか(もっとさっさとグチャグチャになるかと予想していた)。極限状態の描写なら孤島ミステリ(の出来の良いもの)の方が遥かに優れている。

No.3 5点 バード
(2021/02/10 23:38登録)
漂流した少年らが救助されるまでの話で、テーマは社会性の脆弱さである。

外界から孤立した世界で、段々と秩序が失われていく様には嫌なリアリティがあり、読みごたえがある。特に物語終盤では、理性を保ち続け孤立した主人公に感情移入してしまいハラハラさせられる。こう感じるのは、悲しいがな、自分も同境遇になれば蛮人になってしまう心当たり?があるからだろう。

正に無理が通れば道理引っ込む。

No.2 9点 take5
(2013/10/14 00:29登録)
ミステリーとしてこれが登録されていてびっくり。輪をかけて低評価にびっくり。だから自分の好みで評価して、尚且つ評価も上げられるので一石二鳥。…ミステリーとまったく関係なくてすみません。でも大半のミステリーより読後感は豊かかと。

No.1 1点 ムラ
(2011/01/21 21:56登録)
孤島に不時着した少年たちの歪な精神を描いた作品。
鬱な感じの小説として有名らしいが、少年たちの心情や行動がどうもちぐはぐで共感は得られなかった。
もうちょっと上手い事やれただろって突っ込みならが読書をするのはやはり疲れる

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