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ミステリの祭典

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メグレと消えた死体
メグレ警視

作家 ジョルジュ・シムノン
出版日1977年08月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 5点 クリスティ再読
(2019/04/20 10:11登録)
金庫破りの情婦<のっぽ>エルネスティーヌがメグレに妙な話をした。金庫破りが忍び込んだ家で、女性の死体を見つけた、というのだ。金庫破りはそのまま逃亡し、はなはだ曖昧な話だがメグレは<のっぽ>を信用して、忍び込んだと目される歯科医宅に赴く。老母と同居する歯科医の妻は、符合するかのように祖国に戻っており、金庫破りのコトバを裏付けるような痕跡もないわけではない。歯科医の妻は祖国オランダの友人の家を訪れず、失踪したらしい....メグレは歯科医親子と対決する決心をする。

やはり皆さん、メグレの捜査が強引過ぎる、という印象をお持ちのようだ。評者も見込み捜査の度が過ぎるよな...なんて思って読んでいた。まあメグレ物の骨格を取り出したようなシンプルな話。だから話の設定にノレないとダメだなあ。それでも仕事中にメグレ夫人とカフェで待ち合わせて、そのまま珍しくメグレの勤務先に一緒に来るエピソードとかあって、メグレの「ワークライフバランス」に変な面白みがある。フランスだし昔だし、仕事と家庭と余裕をもって両立させるのが、妙に眩しい。

No.2 6点 kanamori
(2011/12/20 22:17登録)
又聞きの不確かな目撃証言と決定的とはいえない状況証拠で男を警察に引っぱり、心臓病の気があるその男に対して夜を徹する長時間の尋問を行う。警察の待合室には容疑者の年老いた母親が心配して徹夜で付き添う状況・・・・・。
人権擁護団体や弁護士会から訴えられそうなメグレの強引な捜査が気になるのですが、後半部ほとんどを占める尋問場面、容疑者と母親に対峙するメグレの心理戦がなかなか迫力がありました。
登場人物では、過去にメグレと関わったエピソードをもつ通称”のっぽ”の元売春婦がいい味出してます。

No.1 7点
(2010/11/10 21:21登録)
メグレものについては、例外はもちろんあるにしても、フーダニット系より最初からほとんど犯人がわかっているようなものの方が合うように思われます。で、本作も怪しい人物というか家族は決まってしまっていて、彼等をいかにして追い詰めていくかというところに、興味は絞られます。捜査、尋問を進めていく中で、容疑者たちの人物象が明確な形をとっていくところが、見所ということになります。
さらに、事件の通報をしてくる「のっぽの女」(原題直訳は「メグレとのっぽ」です)もなかなか魅力的に描かれています。彼女が最後の方でも再度十分な登場機会を与えられる構成もいいですね。
メグレが容疑者を拘引してしまうきっかけは、いくら何でも無茶じゃないかと思えますが、それで事件の核心を探り当てていく手際は、さすがです。その上ちょっとした意外性まであり、なかなかよくできた作品です。

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