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ミステリの祭典

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青列車は13回停る

作家 ボアロー&ナルスジャック
出版日1968年01月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 クリスティ再読
(2023/07/21 15:42登録)
さてボア&ナルの短編集。パリとコートダジュールを結んで走る特急豪華寝台列車「トランブルー」。その停車駅が13駅あることにちなんで書かれた連作短編集...とはいうものの、具体的に車内で事件が起きるのは最初の「パリ」だけ。あと「青列車に乗らなきゃ」とか多少の関りがつけられることもあるが「ご当地」のミステリが13本。
...しかしね、パリから南仏最初のマルセイユまで停まるのはディジョンとリヨンだけ。あとは南仏の紺碧海岸沿いを走るだけなので、どっちかいえば浮ついたリゾート気分がキートーン。作風もいつものボア&ナル心理主義ではなくて、ヒネリのあるコントといった感覚のものが多い。ギャングやら手の込んだ詐欺やら、騙し合いやら、を小粒でピリりと辛い話としてまとめている。中にはちょっとした不可能興味がある「奇術」「十一号船室」とかね。

個々の作品の水準はわりと高いんだが、突出したものがあるというよりも、平均点の高さとバラエティで楽しむような短編集。ボア&ナルの器用さもさることながら、「いかにもフランス好み」といったフランスの短編エンタメ小説のエスプリがいろいろと味わえる作品集と見るのがいいと思う。

No.2 6点
(2012/09/17 08:29登録)
パリとフランス南東部マントンとの間を走る特急「青列車」と言えば、クリスティーにもこの列車を舞台にした長編がありましたね。その青列車が停まる13の市を舞台にした短編集といっても、中にはただその町で事件が起こるというだけで、青列車どころか駅さえ出てこない作品もいくつかあります。また、その地方を舞台とする必然性を感じないものが多いです。
連作ではありますが、統一性よりもバラエティに富んだ短編集になっています。不可能犯罪の謎解きものならばトゥーロンとニースの2編、狂気の屁理屈がサスペンスを高めるリヨン、人情派風な後味がいいサン・ラファエルとカンヌ、皮肉なツイストが効いたマルセイユとモンテカルロなど、様々な趣向が楽しめます。
個人的には、どうということもないシンプルな内容ながら、夫の毒殺にゆれる人妻の心理を描いた、冒頭のパリが好みです。なお、メインの事件が実際に青列車内で起こるのはこの作品のみ。

No.1 5点 kanamori
(2010/08/29 15:43登録)
知る限りボア&ナル唯一の邦訳短編集だと思います。
タイトルの青列車は特に内容とは関連なく、停車駅がある13の町を背景にしたミステリ短編集で、各話は独立しています。
ミステリ趣向の強いトリッキーな「奇術」「十一号船室」のような作品もありますが、軽妙なオチが読ませどころでしょう。
ただ、訳文がいまいちなので、本来の良さが充分伝わってこないような感じを受けました。

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