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ミステリの祭典

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夜のオデッセイア

作家 船戸与一
出版日1981年07月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 クリスティ再読
(2020/06/15 07:43登録)
派手な筋立てのアクション・ロードムービー(映画じゃないが)。
コネチカット~ニューヨーク~マイアミ~ニューオーリンズ~アリゾナとワゴン車「オデッセイア」で流れ流れる同行7人。注射試合をしくじってアメリカに逃げた日本人ボクサー(おれ)、そのマネージャー兼トレーナー、おれの元愛人でストリップまがいに出ていたのに再会して同行する女、その女の甥っ子の黒人ハーフの少年、ベトナム帰りのプロレスラーコンビのウィスキー・ジョー&ブランデー・ジョー、それに謎の男。
このクルーの個性がすべて。ウラさびれた哀しい野郎ども。とくにウィスキー・ジョー&ブランデー・ジョーのコンビが出色。まあだからプロットよりもキャラとオデッセイが通過する「1980年のアメリカ」の騒然とした世相がお楽しみ。黒人暴動あり、ホメイニ革命あり、キューバ情勢あり....マフィア・CIA・モサド・ホメイニ派・ゲバリスタなんでもあり過ぎなのはご愛敬(苦笑)。あ、そういえば宝さがし。宝物はマクガフィン。「そいつは夢でできている」から、結末はつねに永劫回帰。

でも思うんだが、ウィスキー・ジョーのお気に入りはウィスキー、ブランデー・ジョーのお気に入りはブランデー、「おれ」のお気に入りはアブサン、ということになっている。度数は強いけど、あんな甘ったるい酒をよくラッパ飲みするなあ...(いや評者も好きだけどね、デザートみたいに飲むものでしょう?)

No.2 7点 あびびび
(2015/09/06 15:45登録)
ゴルゴ13の原作も書いていたという作者。政治がらみの冒険、スリラーというイメージだが、こんなくだけた作品もあったのかー。「猛き箱舟」以来、船戸さんの作品は手にしたことがなかったが、ベースがしっかりしているので、安心して読める。

日本で新人王決定戦で敗れたボクサーが、育ててくれたマネージャーとともにアメリカで八百長の負け役の旅。ある試合の八百長を元プロレスラー二人に見破られ、旅の同行を強制される。そこから始まるワゴンカー・オデッセイアの旅は、危険だが大きな夢が広がっていた。

No.1 7点 kanamori
(2010/07/31 22:10登録)
志水辰夫と共に80年代の国産冒険小説界をリードした作者の初期の作品。
八百長専門の悪役ボクサーを主人公に、元恋人やプロレスラーなどを同乗させワゴン車でアメリカ大陸を走り回る。パーレビー国王の隠し財産が絡んで、モサド、CIA、マフィアなどが入り乱れる死闘がなかなか壮絶。
洒落っ気のあるプロレスラーたちの造形や旅先の情景など印象深いシーンにあふれています。

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