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ミステリの祭典

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名探偵に乾杯
名探偵シリーズ

作家 西村京太郎
出版日1983年08月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 E-BANKER
(2013/08/31 22:43登録)
「名探偵なんか怖くない」「名探偵が多すぎる」「名探偵も楽じゃない」に続く、名探偵パロディシリーズ第四弾にして、シリーズ最終作。
1983年発表ということで、かなり昔に一度読んでいたのだが、今回再読。
まさか本作が「新装版」として甦ろうとは思わなかったなぁ・・・

~ポワロが死に、その追悼会が明智小五郎の所有する伊豆沖の孤島の別荘で開かれた。招かれたのはエラリー・クイーン、メグレ警部ら世界的名探偵たち。そこへポワロ二世と自ら名乗る若者が現れる。彼は本物の息子であることを証明すべく、孤島で発生した殺人事件の謎に挑むのだが・・・。「名探偵シリーズ」の掉尾を飾る傑作~

何とも不思議な雰囲気を持つ作品。
久々に読んで、そんな感想になった。
本筋は紹介文のとおり、ポワロの追悼会に参加した13名の男女が次々と殺されていくという、まさに「そして誰もいなくなった」をパロったようなプロット。
それどころか、三つの「密室殺人」や不明な動機まで絡み合い、本格ミステリー好きには応えられない展開になる筈なのだが・・・
残念ながら、そうはなっていない。

まず密室は・・・これは「推理クイズ」レベルだな。
(まぁこれは作者も本気で考えてないんだろうけど・・・まさか綾○を意識したわけではないよね?)
「動機」については・・・こじつけかな。
そもそも、本シリーズに対してはこういうまともなプロットやトリックを期待してはだめなんだろう。

そんなことより、本作を読んでると、作者がいかにポワロ(クリスティ)を敬愛しているのかがよく分かる。
本筋の事件が解決をみたあと、何とポワロ最後の作品となった「カーテン」の結末に異説を唱えていて、そこが一番のサプライズかもしれない。
まっ、広い心で読むことをお勧めします。

No.1 5点
(2011/02/23 21:01登録)
おなじみの名探偵シリーズの(少なくとも今のところ)最終作となった本作では、ポアロの息子を名乗る人物が登場します。謎解きミステリとしての出来ということでは、捨てトリックはまあこんなものかなというところですが、うーん、この最終解決はねえ。登場してないフェル博士の某作品をもちょっと思わせますが。また、二十面相シリーズでは聡明だったはずの小林中年がヘイスティングズより凡庸なのがなんとも…
それより、一風変わったクリスティーの『カーテン』論になっているところにおもしろさを感じました。単なるネタばらしなんて生やさしいものではなく、自称ポアロの息子が詳細かつ強引に分析していきます。ポアロが書いたという探偵作家論原稿も出てきますが、この元ネタはクリスティーの『複数の時計』でのミステリ評ですね。
その自称ポアロの息子に対する老名探偵たちの視線にも納得。

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