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ミステリの祭典

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生れながらの犠牲者
警察署長フレッド・C・フェローズ/別題『生まれながらの犠牲者』

作家 ヒラリー・ウォー
出版日1964年09月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 6点 E-BANKER
(2024/11/24 13:42登録)
ストックフォード警察署長フェローズを探偵役とするシリーズ長編。
今回もジリジリという展開にヤキモキされる読者となりましたが、さて真相は?
1962年の発表。

~自宅で寛いでいたフェローズ署長へ事件の報がもたらされる。成績優秀で礼儀正しいと評判の13歳の美少女バーバラが行方不明になっていると母親が電話をかけてきた。彼女が姿を消した前の晩、バーバラは生まれて初めてのダンスパーティに出掛けていた。だがパートナーの少年や学校関係者を調べても有力な手掛かりはつかめない。家出か事故か、それとも誘拐されたのか? 地道で真っ当な捜査の果てに姿を見せる誰もが息をのむ衝撃のラスト!~

なるほど。確かに「衝撃的」ではある。このラストは。
ただ、この真相に至るまでの過程が、もうジリジリというか、遅々として進まないというか、行ったり来たりというか、とにかくヤキモキさせられる。
真相が語られる終章のすぐ前まで、事件の目撃者が語っていたことが、つぎつぎと「嘘」「偽証」だと明らかになるという展開。
じゃあ、いったい何が真実なのか? 今更この段階になって「偽証」だなんて!
などという読者の心配をあざ笑うかのような、今さらの真相・・・

これは・・・普通ならまず最初に気づくか捜査すべきだったのではないかな?
明らかに態度がおかしかったのだから・・・。
フェローズも嘘や偽証をここまで暴く能力があるのなら、最初からコレにも気づくべきなのでは?などと考えてしまう。
まぁそれは言うまい。
ここまで迂回してきたのは、真犯人の「動機」に納得性をもたせる意味合いもあったのだろう。
確かに。終章で長々と語られる「背景」「動機」には胸をつかれるものがあった。
ただ、属性が属性だけにね。ある意味「禁忌」だよね。

個人的には今まで読んだ作者の作品では上位というのが感想。
こういうのが作者の持ち味なんだろう、と好意的に解釈しました。

No.2 5点 nukkam
(2014/05/16 14:55登録)
(ネタバレなしです) 1962年発表のフェローズ署長シリーズ第5作ですが、警察小説と本格派推理小説のジャンルミックス型を予想すると肩透かしを食らいます。最後に明かされる真相は自白頼りになっており、推理による謎解きを期待する読者には不満が残るかもしれません。但し別の視点で鑑賞すればなかなかの作品だと思います。仮にフェローズの代わりに私立探偵を探偵役にしていたら同時代のロス・マクドナルドにも通じる、事件の悲劇性を強調したハードボイルド小説として評価できたのでは。もともとウォーはハードボイルド作家としてデビューしており、ドライな文章が救いのない結末を巧みに演出しています。

No.1 5点 kanamori
(2010/08/30 18:01登録)
フェローズ署長シリーズの第5作。
13歳の少女の失踪事件を追う捜査小説で、当初の構図は「失踪当時の服装は」と似た様相です。
例によって仮説を組みたてながらの地味で緻密な聞き込み捜査の果て、見出した真相は痛ましすぎる内容でした。被害者の母子家庭という環境などのシリアスさは重すぎるので、読後感はちょっと複雑なものがありました。

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