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ミステリの祭典

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消えた乗組員(クルー)
十津川警部シリーズ

作家 西村京太郎
出版日1976年05月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 7点 斎藤警部
(2015/06/09 00:33登録)
京太郎海洋期。『消えたタンカー』に続くは、船が消えず中にいる筈の人間だけ消えて発見される、その名も『消えた乗組員(クルー)』。 
「魔の海域」を巡って対立するオカルト研究家と科学評論家の各派。 やがて件の海域に一台の大型クルーザーが出される事となり。。 「海難審判」なる毛色の違った法廷シーンも新鮮。 スピーディーに読めて爽快、納得の一冊。

No.2 7点 E-BANKER
(2012/05/02 23:34登録)
「赤い帆船」から始まるいわゆる“海の十津川”シリーズの第3作目。
まだ30代半ばという働き盛りの十津川警部がアグレッシブに捜査を進めるのが新鮮。

~「魔の海」と恐れられる小笠原諸島沖合の海域で、行方を絶っていた大型クルーザーが発見された。船内には人数分の朝食が用意されたままで9人の乗組員は残らず消えていた。幽霊船の真相究明が始まると、発見者のヨットマンたちがつぎつぎと怪死をとげ、傍には血染めの召喚状が・・・。十津川が海の謎に挑む長編推理~

やっぱり初期の西村作品は面白い、というのを実感した作品。
本作は紹介文のとおり、「マリーセレスト号事件」を模した大海原からの人間消失を巡る事件と、それを発見したヨットマンたちが被害者となる連続殺人事件の2つが、一見並行しながら徐々に絡み合っていくところにプロットの妙がある。
前者は「海の法廷」というべき「海難審判」を舞台に、仮説を1つ1つ壊していき真相に到達していくというスタイルが斬新だし、後者はなぜヨットマンたちがつぎつぎ殺されるのかという「動機」の隠し方が読み所。
終盤、ある1つの物証を手掛かりに、十津川が事件のカラクリに気付き、一気に謎が解明されるところは、いつもの西村作品の味わい(?)とも言えるが、とにかく「魅力的な謎の提示」というミステリーの重要な要素は十分に満たしていると思う。

で、ここからが不満点なのだが・・・
やっぱり「動機」のムリヤリ感はどうしようもなく感じる。
「消失」の方は、わざわざ消す人間を多くした理由がよく分からない。消したかった人間は○人だったはずだが、いくらなんでもそれが○人まで増えるというのは人間心理的に無理があるのではないか。
「連続殺人」の方も、まだ殺人はいいのだが、そのカモフラージュ(※ネタバレ?)としてあそこまでやっちゃうというのは正直言って理解不能。
この辺りは、まぁ魅力的なプロットの代償とも言えるが、もう少し練りあげる術はあったのではという気がしないでもない。

でも、最近の量産型ミステリーを勘案すれば、十分に面白く楽しめる作品なのは確か。
(亀井刑事もまだまだ若い印象。本多課長はこの頃からシブイ役どころ。何せパイプを吸ってるんだから・・・)

No.1 6点 kanamori
(2010/06/12 17:47登録)
海の十津川警部シリーズ。
大型クルーザーから乗組員全員が消失するというマリー・セレスト号事件を彷彿とさせる発端の謎の提示が魅力的なため、グイグイ物語に引き込まれました。その真相が常識的なもので物語の終盤に入る前に明かされても、十津川が証拠を求めて各地を巡る捜査状況が丁寧に描かれていて結構楽しめました。
犯人の設定に不満もありますが、本格編としてではなく警察サスペンスものとしてまずまずの出来だと思いました。

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