民王 内閣総理大臣・武藤泰山 |
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作家 | 池井戸潤 |
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出版日 | 2010年05月 |
平均点 | 6.25点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 6点 | 風桜青紫 | |
(2016/01/27 00:53登録) 安定のリーダビリティの高さで楽しく読めた。冒頭では、「また俗情の結託みたいな麻生叩きか……」と引いてしまったが、読み進めていくと、安直な政治批判ものではなく、むしろ国民やマスコミの政治に対する無理解な姿勢を指摘しているようにも感じられた(なのに文庫解説は安直な政治批判だから嫌になる。まあ村上貴史はバカだから仕方ないけど)。親父と息子が入れかかわった結果、なんだかんだでうまくおさまるなんて展開はあまりにもベタなのだが、これがまた痛快で面白い。「リンゴもバナナもあるか!」と「泰山は私の父です」のくだりには思わず興奮してしまった。それだけに「ある人物は入れ替わりの事実」を知っていたというオチには、ややがっくりとくるんだけども、まあ、話をきれいに落とすには仕方がないか。翔の「父は生まれながらの政治家です」という台詞には満足。池井戸潤の巧みな話運びが感じられる一冊だった。 |
No.3 | 6点 | itokin | |
(2015/01/31 12:27登録) 池井戸氏の作品は初めて。氏の評判の良さが少しわかった気がする、単純明快なプロットとユーモア、登場人物の際立つキャラで読む人を引き付けるのだろう。 しかし、この作品では、人格の入れ替わりとゆう安易な設定だからこそ最後の盛り上がりや物語のひねりを期待したんだが平凡さに不満が残る。 |
No.2 | 5点 | E-BANKER | |
(2014/04/18 10:41登録) これが1,001冊目。(これからもマイペースで書評をアップしていきたい・・・) 本作は2010年発表の長編。 今春から「ルーズヴェルト・ゲーム」と「花咲舞が黙ってない(原作は「銀行総務特命」「不祥事」)」のニ本が地上波としてスタート。ますます絶好調の作者が贈る、政界を舞台とした痛快エンタメ小説(+薄味のミステリー風味を少々・・・という感じ) ~「お前ら、そんな仕事して恥ずかしいと思わないのか? 目をさましやがれ!」 漢字の読めない政治家、酔っぱらい大臣、揚げ足とりのマスコミ、バカ大学生が入り乱れ、巨大な陰謀をめぐる痛快劇の幕が切って落とされた。総理の父とドラ息子が見つけた真実のカケラとは? 一気読み間違いなしの政治エンタメ~ 『なんで池井戸潤ってこんなに人気あるんだろう?』 デビュー作以来の古い(?)ファンとしては、最近の異常なまでの池井戸人気は全く想像がつかなかった。 「半沢直樹」は演出の過剰さとハマリ役の俳優陣がうまく噛み合った結果と原作が相乗効果を生んだという気もしていたけど、たまたま一昨日「花咲舞が・・・」を見ていて、やはり作者の作品は、日本人の特性というかセンチメンタリズムに嵌っているということなんだろうと感じさせられた。 池井戸作品のプロットの多くは、ひとことで言えば「勧善懲悪」という実に分かりやすい図式を取る。 そう、時代劇ではお馴染みの悪代官と悪徳商人のコンビを黄門様御一行や将軍吉宗が成敗する・・・という例のやつ。 それをそっくりそのまま銀行業界に置き換えたものが十八番のプロット。 そうなのだ、この“分かりやすさ”と“痛快劇”・・・これこそが人気の秘密なのだろう。多くの作家はこんなこと分かっていながら、あまりの単純さに敬遠してきたものを、作者は躊躇せず書き続けてきたのだ。 これはこれで「信念」の賜物だろう。 読者も「単純だなぁ・・・」と分かっていながら、読み終わったときにはなぜかスッキリした気持ちになった自分がいてビックリさせられる・・・そんな感覚ではないか? ということで本作なのだが・・・(長い前フリだ) 紹介文のとおり、実際に何年か前の内閣をベースに書かれた作品で、実に分かりやすい作品に仕上がっている。 まぁ全体的には肩の力の抜けた作品という印象だし、同時期の他作品に比べて評価できるポイントは少ない。 ってことで、評点としてはこの程度。通勤中に軽く読むくらいが丁度いいかもしれない。 (これで今のところ刊行されている池井戸作品はすべて読了。次作は半沢シリーズの「銀翼のイカロス」かな?) |
No.1 | 8点 | 江守森江 | |
(2010/08/29 04:29登録) 読み始めて「パパとムスメの7日間」の親父と息子バージョンで、実在のモデルを想起させる政界パロディ小説だと思わされる。 そして、早々に人格入れ替わりが科学テロであり、ライバル政党でも親父とムスメに入れ替わりが起きている事がさらされる。 テロ対策で公安の刑事まで登場し、政界パロディに絡めたテロ小説に転じて犯人当て要素もオマケに付く。 すべてにベタな展開ではあるが、理想と批判と笑いに満ちた政治小説だけでなく、人格入れ替わりによる家族小説としても面白い、一冊で何度も美味しい優れたエンターテインメント作品だった。 作者と同世代ゆえに感じる青春時代へのノスタルジーにも満ち溢れていた。 夏バテを吹っ飛ばす楽しい読書に文句なしの満点。 |