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ミステリの祭典

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刺のある樹
仁木兄妹の事件簿

作家 仁木悦子
出版日1961年01月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2018/08/18 06:57登録)
(ネタバレなしです) 1961年発表の仁木兄妹シリーズ第3作の本格派推理小説です。この作者ながらの平明な文章で書かれてますが捜査が進むにつれ人間関係がどんどん複雑になるので人物リストを作りながら読むことを勧めます。謎解き伏線は結構あるのですがシリーズ前作の「林の中の家」(1959年)の推理の積み重ねに比べるとやや粗い謎解きに感じます。しかし秘められた悪意が明かされた時の重苦しさとさわやかさを残す締めくくりの対照は印象的です。

No.2 5点 E-BANKER
(2013/04/27 22:17登録)
1961年発表。「猫は知っていた」「林の中の家」に続く長編三作目が本作。
本作も雄太郎&悦子の仁木兄妹シリーズ。

~ミステリーマニアの仁木雄太郎、悦子兄妹の下宿に、ひとりの紳士が相談に訪れた。このところ不可解な出来事に次々と見舞われ、命を狙われているのではないかと怯えているらしい。二人が調査に乗り出した矢先、紳士の妻が何者かに絞殺されるという事件が起き・・・。息もつかせぬ展開、二転三転する推理合戦の行方は?~

作者らしい「雰囲気のいい」作品。
陰残な殺人事件と狡猾な真犯人など、普通ならドロドロした話になるに違いないプロットなのだが、作者の手にかかるとなぜだかほんのりした雰囲気が醸し出されるから不思議。
それもこれも、仁木兄妹のキャラクターが効いているのだろう。
その辺は、巻末の「作者あとがき」でも窺い知ることができる。
(本作はポプラ社のピュアフル文庫にて読了)

ただ、ミステリーとしてのプロットそのものは単純かなぁ。
最初からどうみても怪しい奴がいるし、伏線も“ある人物”をかなりあからさまに指し示しているとしか思えない。
これは「意外な真犯人」でも用意されているのか、と思っていたが、そういうわけでもなく解決・・・といった具合。
アリバイトリックに(当時としては)やや斬新な趣向が取り入れられているところが救いか。
ラストの捻りは後味が悪くなるだけのように思えるし・・・

ということで、トータルでは水準級という評価が適当かな。
時代性から見れば、大いに評価していいのかもしれないが、「猫は知っていた」などと比べるとやっぱり落ちる。

No.1 6点 kanamori
(2010/07/05 20:54登録)
仁木兄妹シリーズ長編第3弾。
雰囲気は日常の謎テイストながら、実際は殺人事件が必ず発生するのが作者のミステリの特徴。
本書は、最初から依頼人が兄妹のもとに登場するプロットで、従来の巻き込まれ型と趣を変えていますが、最後まで読むとそれも作者の計算のうちと分かる。

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