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ミステリの祭典

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ストリート・キッズ
探偵ニール・ケアリーシリーズ

作家 ドン・ウィンズロウ
出版日1993年11月
平均点6.75点
書評数4人

No.4 4点 メルカトル
(2025/06/15 22:11登録)
1976年5月。8月の民主党全国大会で副大統領候補に推されるはずの上院議員が、行方不明のわが娘を捜し出してほしいと言ってきた。期限は大会まで。ニール・ケアリーにとっての、長く切ない夏が始まった……。元ストリート・キッドが、ナイーブな心を減らず口の陰に隠して、胸のすく活躍を展開する! 個性きらめく新鮮な探偵物語。
Amazon内容紹介より。

正直イマイチでした。ハードボイルドでありながら随分マイルドなのも、面白さを半減させている一因だと思います。
打てば響く様な軽快な文章は良いのですが、一ページ丸ごと改行無しのびっしりと埋まった説明文にはうんざりさせられました。物語は単純で、ただ家出娘を探して期限までに連れて帰る事。これだけの内容で500ページ超えはあり得ませんね。本来なら半分以下の分量で済んだはずなのを、無理やり引き延ばして冗長に仕上げてしまったのは、どう考えても無謀でしょう。

それぞれのキャラも主役以外はあまり個性的ではなく、読んでいて全く心が動きませんでした。こんなの読んでる時間があるのならDVDでも観てたら良かったなあ。
高評価をされた方には申し訳ありません。しかし、自分に正直になるべきだと考え忖度することなく評価しました。私の読解力では本作の面白さが1ミリも理解出来ませんでした。残念。

No.3 5点 mini
(2011/03/25 10:24登録)
本日発売の早川ミステリマガジン5月号の特集は”トレヴェニアン×ドン・ウィンズロウ”
4月25日に、ドン・ウィンズロウ「サトリ」が刊行予定だが、これはトレヴェニアン「シブミ」の前日譚らしい

そこで両作家とも未読だったので、これを機会に両作家を読んでみる事にした
ウィンズロウはこのミス1位に輝いた「犬の力」など最近はノンシリーズの方が話題だが、第1作でもあるし二ール・ケアリーのシリーズから「ストリート・キッズ」を読んでみた

ストーリーは実に単純で、ただ単に本筋だけを追うなら半分の長さでも書けそうなくらいで、とにかく道草が多い
この道草こそが作者の書きたいところなんだろう、作者は本来は”大河ドラマ”みたいなのが得意なんじゃないかとも思えた
しかし例えばニールの成長物語という面も、案外とあっさりした描写で、ウィンズロウの筆致には重厚感が無い
この軽妙な筆運びが持ち味なのかも知れないが、もっと感動物語的なのを予想していたのでちょっと拍子抜けだった

二ール・ケアリーは一応は私立探偵の肩書きなんだけど、一般的なイメージとは大分異なる
学費を組織から援助してもらっている大学院生なので、毎日の生活費を気にするような個人経営の私立探偵のような金銭面の悲壮感が無い
この違いは雰囲気に大きく影響し、ハードボイルドという感じは全くせず、何て言うかスパイエージェントの密偵といった雰囲気さえ有る
現代私立探偵小説という意味なら、ちょっと前に読んだS・J・ローザンの方が私的には好ましく思えた

No.2 10点 itokin
(2010/10/14 21:04登録)
イヤーこれは面白かった。最初から終わりまでだれることなく右肩上がりの一直線、文体に無駄がなくひねりのきいた表現は翻訳者の力量もあってかすばらしい、これが処女作とは信じられない。

No.1 8点 Tetchy
(2010/05/29 22:22登録)
ドン・ウィンズロウのデビュー作にして探偵ニール・ケアリーシリーズ第1作。
探偵物語としても上質でありながら主人公ニールの成長物語として実に爽やかな読後感を残す。
次期大統領候補の娘の捜索というメインのストーリーの合間に断片的に挟まれるグレアムがニールを教育し、一人前の探偵に育てていく探偵指南の挿話が実に面白い。

リアルとフィクションのおいしい要素を上手くブレンドした作者の筆致はレナードのそれとは明らかにテイストが違い、デビュー作にしてすでに自分の文体を確立している筆巧者。
裏ぶれた社会に青さと甘さを持ちながらも自らの道徳を大事に事件に当たる若き探偵ニール。このニールはチャンドラーのフィリップ・マーロウを現代に復活させた姿としてウィンズロウが描いた人物であるように思える。

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