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ミステリの祭典

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氷の森

作家 大沢在昌
出版日1989年04月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 7点 itokin
(2012/06/21 19:22登録)
ハードボイルドを書かせたらやはりこの人と思わせる。この作品で飛躍し新宿鮫が生まれたらしいが大沢さんの才能が十分うかがえる。物語全編に漂う雰囲気、流れ、迫力ある格闘シーン、謎の犯人像等最後まで飽きさせない。

No.2 6点 E-BANKER
(2011/05/11 22:18登録)
元"麻取”の私立探偵、緒方洸三を主人公とするハードボイルド作品。
新装版で読了。
~私立探偵、緒方が調査する先で関わった若者たちが次々殺されていく。最も弱い部分を突かれ、非業の死を迎える彼らは、ヤクザすら自在に操る冷血漢に支配されていた。緒方は六本木の街で1人、暗黒に心を支配された男と対峙し、その正体に迫るが・・・~

ストーリーやプロット、主人公・サブキャラの造形などなど、まさに「ザ・大沢’Sハードボイルド」そのもの!
本の帯には、「新宿鮫シリーズ」につながる原点とありますが、同シリーズほどの完成度ではないかなという印象。
巻末解説によれば、作家デビュー以来不遇な時代を過ごしてきた作者が、乾坤一擲、自身のハードボイルド作品の集大成として書いたのが本作とのことで、もちろん十分に水準以上の面白さはありますし、グイグイ読まされました。
冒頭から、複数の事件が同時進行。ラストではそれが有機的につながり、「ボスキャラ(影の黒幕)」の正体が明らかになっていく・・・やっぱり「うまい」ですね。
ただ、その「影の黒幕」の正体が分かった段階では、すでに○○でいた・・・というのがちょっと不満。もう少し盛り上げる方法があったんじゃない?という気がしますし、「動機」に今ひとつ真実味が感じられない結果になってます。
まっ、でも十分に面白い。敵キャラとの対決シーンは手に汗握るし・・・
(時代で言えば、バブル絶頂期の六本木が舞台ですから、あの頃を懐かしみながら読むのも一興かも・・・)

No.1 7点 kanamori
(2010/06/05 17:07登録)
「新宿鮫」シリーズでブレイクする直前に書かれたハードボイルド小説。
文庫惹句には、”新宿鮫の原点”とありますが、主人公の私立探偵・緒方はあまり個性は見られず、いままでのハードボイルドものと変わらないように思えます。
ちょっと感心したのは、探偵が対峙することになる冷酷な敵の描き方で、ヤクザさえ自在に操り冷酷に殺人を繰り返しながら終盤までその姿を現さない構成です。小説のタイプや犯人像は全く違いますが、「火車」の構成を連想しました。

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