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ミステリの祭典

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ぼくらの気持
栗本薫

作家 栗本薫
出版日1979年06月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 8点 虫暮部
(2024/06/07 13:17登録)
 “行きあたりばったりの犯行” と言う設定の恩恵に作者も甘えたか、少々雑な真相ではある。状況証拠ばかりで、あの人を教唆者=主犯であると断じるには弱くない? “誰が何をどこまで知っているか” は重要な視点だが、情報がどこでどう伝わるか網羅するのは困難で、客観的な扱いの難しさも無視出来ないと思う。
 しかし人物と時代風俗の描写はグンバツ。サブカルのC調なフィーバーと表裏一体たるナウなヤングの普遍的青春の蹉跌がビューティフル。

No.2 5点 nukkam
(2015/11/08 08:37登録)
(ネタバレなしです) 1979年発表の「ぼくらの」三部作の第2作となる本格派推理小説です。「ぼくらの時代」(1978年)から2年が経過した設定ですが主人公3人の友情は変わらず会話は学生時代のノリと同じです。有力容疑者と成ったヤスヒコが単独行動に走り(そしてますます窮地に陥る)、それをぼく(栗本薫。男性です)と信がフォローするプロットで、このスラップスティック(どたばた劇)な展開はクレイグ・ライスのミステリーに通じるものがあります。特に終盤のサスペンスはすさまじく、いい意味で作者の若さが発揮されています。ただ謎解きとしては問題点もあり、動機の説明に力を入れていますがそれだけでは犯人当てとしての説得力は不十分です。機会についても推理してますが、多少の行き当たりばったりには目をつむるにしても本書の場合は余りに好都合で犯行が成立したという印象が残りました(失敗してもやり直しができたと説明はしていますが)。

No.1 5点 kanamori
(2010/04/27 20:16登録)
学生ロックバンド<ポーの一族>のメンバー3人も卒業し、それぞれの道に・・・。青春ミステリ「ぼくら」シリーズ第2作は、漫画出版社勤務になったヤスヒコが女性漫画家殺しの容疑者にされ、薫と信が解決に奮闘するという話。
このシリーズに思い入れがないと、定番のミステリの構成に苦笑ものかもしれませんが、30年ぶりに続編を読む身にとっては、なかなか感慨深いものがありました。しかし、ヤスにとって、この苦い結末は重すぎる。

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