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ミステリの祭典

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硝子の家
鮎川哲也編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日1997年03月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 6点 ボナンザ
(2014/04/09 15:23登録)
なんと言っても絶版状態だったこれらの作品を読めるのが嬉しい。
硝子の家は特に名作だと思う。

No.2 7点 isurrender
(2011/07/02 00:36登録)
当時の単行本未掲載作品を集めたアンソロジーです
(現在でも単行本未掲載かどうかはわかりません)
表題作の「硝子の家」は読みやすいんですけどトリックの衝撃は少ないです
『離れた家』は物凄い作品だと思います
と同時に、アンフェアな結末でもあるのでその辺をフェアにするため長編にすれば、歴史に残る名作になったのに…と残念な気持ちもあります

ノックスの十戒やヴァン・ダインの二十則などある意味で面白い古典的資料ともいえる作品が掲載されているのも面白いですね

No.1 7点 Tetchy
(2010/04/14 21:47登録)
表題作の『硝子の家』。
一番初めに驚いたのは昭和25年に書かれた本作が平成の世においても読みやすかった事。また風景描写に違和感が無かったことだ。作者島久平の筆致は隙が無く、しかも読み易い。この作品においては4つの殺人が成されるわけだが、それらが全て何らかの形で『ガラス』が関わっているのが特徴。4つの殺人の内、加戸雲子(しかし、なんというネーミングだろう…)に成された遠隔殺人については容易にトリックは判ったが、大峯幸之進と黒部医師の殺人のトリックはあまりこちらのカタルシスを誘わなかった。
しかし、一番最後に明かされる大峯幸一郎の殺人は密室が成立する真相が非常に面白かった。
なぜ被害者は自ら密室を作ったのか?
なぜ被害者は犯人を二度と入れさせまいとしたのか?
このロジックの畳掛け、そして身の凍る、これならば絶対に犯人の入室させたくないであろうという理由が平成の現代においても読んだことの無いほどのおぞましい内容で脱帽した。しかもこの真相も『ガラス』に纏わるもので、題名にダブルミーニングを持たせている。この作品の評価は9点。

中編『離れた家』。
解る人は存在しないのではないかというぐらい複雑さを極めている。鮎川哲也の序文に寄れば元々短編だったのを複雑すぎて解りにくいという事で中編に改稿してもらったのが本作で、鮎川氏が短編のままだと掲載を躊躇したのも頷ける話だ。真相部分に付されたタイムスケジュール表がなければ30%ぐらいしか理解できなかっただろう。これは7点。

しかし最後の短編『鬼面の犯罪』は2点。天城氏の作品はその文体のペダンチックさがどうも私には性に合わなく、内容の10%―事件の謎と解明の部分だけ―しか理解できない。最後に付されたあとがきもこの傾向はあり、気障な印象を受け、苦手だ。

第2部として掲載されたヴァン・ダインの『探偵小説作法二十則』、ノックスの『探偵小説十戒』はなぜ載せられたのか、意図が不明である。現代本格の下においてはその内容はもはや古典的であり、失笑を禁じえない。この論文に基づいて本格をものする人が果たしているのだろうか?

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