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ミステリの祭典

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蝦蟇倉市事件1
伊坂幸太郎・大山誠一郎・伯方雪日ほか

作家 アンソロジー(出版社編)
出版日2010年01月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 江守森江
(2010/04/22 13:37登録)
不可能犯罪が多発する架空の地方都市を舞台にする縛りによる書き下ろしアンソロジー。
作家毎の推敲時期に幅があり、企画段階から出版に至るまで三年以上経過している(なんとかお蔵入りを回避した感じ)
道尾は、普通に上手いのだが、短編での騙しは長編に比べ何か物足らない。
その道尾作品を読んで設定を自作に取り込む伊坂は手馴れたもの。
福田栄一も、教授を尋ねる辺りで狙いが透けるが読ませる点で同系統。
しかし、これらは不可解な事件ではあるが不可能犯罪ではなくテーマに即していない。
一方で、相変わらず不可能犯罪に拘る大山誠一郎は、所々発想に素晴らしさが垣間見えるが全体的には現実味の薄いバカミスになり、それを読んだ伯方雪日(格闘技ミステリのファンには作品が発表されるだけでも嬉しい)が同系統で締めた。
各作品単独ではどれも「可もなく不可もなし」で、縛りを考えれば関連性もこの程度で仕方がないのだろう。
あとは2も含めた収録と掲載順で、作家に責任はなく出版社の販売戦略と編集者のセンスの問題だろう。
私的な見解では、ネームバリューによる売上バランスを無視して大山・伯方を2に廻し、2では噛み合わない米澤と1でも問題ない北山を此方に収録すれば纏まり良くなっただろう(←1は売れるが、2は売上不振間違いない)

No.2 6点 あるびれお
(2010/04/10 07:56登録)
最初のお二人の文章のテンポ(というか流れ)が良かっただけに、以降の作品との落差が大きく感じた。こういったアンソロジーって作家の力量があからさまに比較されてしまうので怖いですね。なお、道尾さんの作品、初版の誤植(東京創元のホームページに訂正の記述あり)のままだとリドル・ストーリーが成立しないのでご注意のほど。

No.1 5点 kanamori
(2010/03/16 18:48登録)
不可能犯罪の発生率が異常に高い架空の街を舞台にしたアンソロジーの第1弾。
道尾秀介、伊坂幸太郎の作品はそれぞれの持ち味である、騙しのテクニックと遊び心が出ていてまずまずの出来。あまり期待していなかった福田栄一の「大黒天」が物語の世界をキッチリ構成できていて、編中のベストだと思った。
しかし、蝦蟇倉市という共通の材料が与えられていながら、それぞれの作家が好き勝手なことをやっていて、共有化が出来ていない印象がある。作品間のつながりが希薄。

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