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ミステリの祭典

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警官の証言
ビール主任警部

作家 ルーパート・ペニー
出版日2009年12月
平均点5.00点
書評数4人

No.4 6点 ROM大臣
(2022/01/20 15:15登録)
一九三八年一月、パードンは友人の少佐の新しい屋敷で宝探しを手伝うため、しばらく滞在することになった。少佐が競り落とした古書に財宝のありかを示す暗号が書かれていて、そのために屋敷も購入したらしい。すぐに宝の一部と思われるルビーが見つかるが盗難にあい、さらに執事が何者かに殴られ負傷する事件が起きる。友人のパードンから事件解決の応援を頼まれたビール警部が屋敷を訪れたその時、少佐が死亡しているのが見つかった。
第一部では事件前までの人物や相互関係を服装なども手に取るようにわかるほど事細かに描写し、第二部では物的証拠や証言から犯行を実証していく。二人の語り手の観察眼が全く異なり、それが重大な伏線になる様相が面白い。

No.3 4点 八二一
(2020/01/01 09:14登録)
読者への挑戦状付きの密室殺人。二人の異なる視点によって登場人物それぞれの個性と人間関係が鮮やかに浮き彫りになっていく過程が読みどころ。トリックは今ひとつ。

No.2 5点 江守森江
(2010/02/23 15:18登録)
先に翻訳されていた「甘い毒」以上に坦々と読み難い人物描写が続く前半で、翻訳者の技量より作者の作風に馴染めるかが一番の問題であると解った。
※要注意!!
以下ネタバレします。
第一部・第二部で語り手を替えて仕込んだ“密室トリック”が「読者挑戦」かつ作品の肝だが(幾ら作中で共犯を匂わせても)複数の共犯者無しでは成立せず、しかも怪しい奴の大半が共犯者ではカタルシスは得られない。
それでも、解決編前までの坦々とした展開と違い、読み難さに潜ませた伏線の回収と嘘の見破りから論理的に導く犯人指摘が読ませるだけに惜しい(とは言えトリックの構成上、手直しは無理)
宝探しの解決を付した点は一見親切だが「旧約聖書」に興味がないと(「般若心経」の暗号を一般的西洋人に解かせるイメージで)何ら楽しくない。

No.1 5点 nukkam
(2010/01/18 18:28登録)
(ネタバレなしです) 1938年発表のビール主任警部シリーズ第5作でペニーの代表作とされています。宝捜し、密室殺人、名探偵を語り手にした1人称形式と読者への挑戦状の両立などパズル好きな読者を喜ばせそうなネタ満載の本格派推理小説です。しかしそれ以外の長所を見出すのが難しい作品で、会話だろうと地の文だろうと延々と説明調の文体が続くので小説としての盛り上がりを犠牲にしています。人物描写も相変わらず生彩がありません。また密室トリックについてはマニアや評論家には受けがいいようですが個人的には(トリック成立のためのある条件が)あまり感心できませんでした。

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