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ミステリの祭典

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どんでん返し

作家 笹沢左保
出版日1981年09月
平均点5.50点
書評数4人

No.4 6点 メルカトル
(2016/03/02 21:54登録)
全体的に小粒な印象。異色な感は強いが、タイトル通りのどんでん返しを期待すると裏切られる。かなり緩めの切り返しといった感じで、エッジの効いた反転とはならなかったのは少々残念。
だが、それぞれがどことなく小粋な雰囲気を醸し出しており、会話だけで成り立っているとは思えないような、ストーリー性の豊かさを感じる。
個人的にベストは『皮肉紳士』で、ダイイングメッセージを学術的に幾種もの解釈を披露しており、興味深く読めた。

No.3 5点 まさむね
(2016/01/21 23:54登録)
 二者間の会話のみで構成される短編集。3名が発言する短編もありますが、いずれも、それぞれ「二者間」の会話で構成されています。
 軽快で読みやすいのですが、全短編に期待するレベルの反転があるのかと問われれば、ちょっと苦しいかな。まぁ、タイトルが「どんでん返し」っていう時点で、あれこれ想定しながら読んでしまいますし、ハードルも上がってしまうのでしょうが。

No.2 6点 E-BANKER
(2014/05/26 23:07登録)
1981年に発表された短篇集だが、なぜか最近書店で平積みにされていた本作。
全編会話だけで構成された異色の短編六つを集録。

①「影の訪問者」=夜中、突然やって来た元恋人の女。男は女が殺人を行った後にやって来たのだと推理したのだが・・・。ラストに主客入れ替わるところがミソ。
②「酒乱」=過去、人殺しという過ちを犯した女性。その女性を許し、夫婦として生活してきた夫。平和な生活を送っている今、過去の犯罪の真の姿が明らかになる。
③「霧」=またもや男と女の化かし合いがテーマの作品。ラストには皮肉な結果(?)が待ち受けている。よくあるパターンではあるが・・・
④「父子の対話」=②と同ベクトルのストーリーだが、本作では男女ではなく父子関係が背景。過去に起こった不幸な火災で妻(母親)を喪った夫と息子。その火災には隠された秘密があった・・・っていうパターン。でもなかなか衝撃的。
⑤「演技者」=これが一番ツイストの効いた作品。アリバイを演出しようとした女優が、ある皮肉な事実により罪に陥れられてしまう・・・。これはナカナカ。
⑥「皮肉紳士」=ダイニングメッセージをテーマとした一編。ある大学教授に事件解決の協力を依頼した警察。自宅から成田空港までの二時間で事件を解決できるのか、という趣向。ラストの一行にニヤッとさせられる。

以上6編。
タイトルどおり、全作品ともラストにドンデン返しが待ち受ける・・・というミステリー好きには堪らない趣向。
のはずなのだが、そこまでのインパクトのある作品はごく僅か。
全編会話だけで構成というのは、さすがに作者の腕前を感じさせるし、そこそこ読ませる作品には仕上がってる。

まぁ水準級という評価に落ち着く。
(個人的ベストは⑤で次点は④。あとは同レベル。)

No.1 5点 こう
(2009/10/31 22:17登録)
 全編二人の登場人物の会話のみで構成された異色短編集ということで読んでみました。全編殺人事件を扱い、全編どんでん返しがある作品集ですが肝心のどんでん返しがそれほどの切れ味がなく残念でした。井上夢人の「もつれっぱなし」もそうですが趣向はともかくストーリーを面白くするのは難しいようです。

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