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ミステリの祭典

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極北クレイマー
極北篇シリーズ/改題『極北クレイマー2008』

作家 海堂尊
出版日2009年04月
平均点4.75点
書評数4人

No.4 6点 E-BANKER
(2014/03/22 20:23登録)
北海道極北市にある極北市民病院。
今回の舞台はいつもの桜宮市を離れたが、登場人物のなかにはこれまでの海堂ワールドを彩ってきたメンバーたちがちらほら・・・
続編「極北ラプソディ」の前編的位置づけなのが本作。

~財政破綻に喘ぐ極北市。赤字五つ星の極北市民病院に赴任した非常勤外科医・今中は、あからさまに対立する院長と事務長、意欲のない病院職員、不衛生な病床にずさんなカルテ管理など、問題山積・曲者ぞろいの医療現場に愕然とする。そんななか、謎の派遣女医の姫宮がやってくる・・・。果たして今中は病院を救えるのか、崩壊した地域医療に未来はあるのか?~

医療事故と地域医療。
現代の日本に存在する医療に関する諸問題のうち、この二つが本作のテーマとなった。
医療事故については、それこそ「白い巨塔」以来、何度も取り上げられたテーマであり、特段の目新しさはない。
ただ、本作の舞台となっている産婦人科については、最も医療事故が「許されない」対象となっている点は考慮する必要がある。
(それにしても、三枝医師があの「マリア・クリニック」院長の子息とはなぁ・・・)

そしてもうひとつのテーマである「地域医療」。
本作に出てくる架空の街・極北市は恐らく「夕張市」がモデルになっているものと思われるが、何も夕張に限ったことではなく、地方では県庁所在地以外ではどこにでも同種の問題が存在する。
救急搬送でのたらい回しや慢性的な医師不足など、問題山積なのが現状だろう。

ただし、作者はこういう医療側だけの問題でなく、医療を受ける側の問題を指摘する。
われわれが日々享受している医療サービスは、過酷な労働環境で働く医師たちに支えられているのだと・・・
作中ではマスコミの取材態度や勉強不足を槍玉に挙げているが、確かに徒にミスをあげつらい、患者の権利だけを主張する世の中はどうなのか、という思いは強くさせられた。
終章に登場する世良医師(あの世良だ!)が発した「日本人は今や一億二千万、総クレイマーだ!」という言葉。医療関連ではないが、同じ(?)サービス業で働く身としては、同様に感じてしまう思いである。

ということで、割と硬派な書評になってしまったけど、本作もやはり「笑いどころ」満載の医療エンタメ作品に仕上がっている。
ミステリー色はほぼないが、海堂ワールドを楽しみにしている読者にとってははずせない作品。
(極北市で夕張だけじゃなく、夕張+網走+稚内っていう感じかな?)

No.3 6点 VOLKS
(2010/10/07 13:51登録)
本作だけでは解決しない部分が沢山あり、いろんな意味で次回作へのステップ小説・・・で、あると期待をしてこの点数(笑)
海堂ファンならそれなりに本作も楽しめるが、登場人物のインパクトが今回はいまひとつ。

No.2 4点 まさむね
(2010/08/16 21:12登録)
まず,この作品はミステリではありません。
医師の刑事訴追問題とか,地域医療崩壊問題とか,社会的なトピックを扱っており,それ自体は興味深い話題と言えます。しかし,前者については,いわゆる「大野病院事件」をそのまま描き直しただけですし,後者についても何とも薄っぺらい(真の問題点を履き違えている?)印象を受けました。
かといってエンタメ感溢れる作品でもない。作者は何がしたかったのだろう。いろんな意味で中途半端な印象。そういえば,姫宮の使いっぷりも中途半端だったなぁ。

No.1 3点 白い風
(2009/09/30 17:31登録)
今回も私的にハズレだった…おそらくこれで最後の海堂作品になるかもね。
途中、姫宮香織が出てきたところだけが唯一楽しめたかな。
最早、海堂さんの愚痴にしか思えない。
医療ジャーナリスト・西園寺さやかの件もなんか謎が残ったままでフラストレーションが溜まるな…。

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