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ミステリの祭典

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能登の密室
ルポライター浦上伸介

作家 津村秀介
出版日1992年04月
平均点5.00点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2020/09/25 23:10登録)
(ネタバレなしです) 1992年発表の浦上伸介シリーズ第25作の本格派推理小説です。アリバイ崩しに定評ある作家が密室に挑戦というと古くはF・W・クロフツの「二つの密室」(1932年)や「シグニット号の死」(1938年)が思い浮かびますが、クロフツ同様に手堅いトリックですけどサプライズもインパクトも感じられませんでした。「金沢発15時54分発の死者」というサブタイトルが付き、冒頭に時刻表や路線図が配置されていてアリバイ崩しも忘れてはいません。密室トリックは第7章で明かされますがアリバイトリックの方はまだまだ手ごわく、しかも解けたと思わせて謎が深まるという仕掛けもあってやはりこの作者はアリバイ崩しが本領だと再認識しました。序盤は容疑者全員にアリバイがあるので誰が犯人かという興味もありますが、崩そうとするアリバイが絞り込まれると犯人の正体が早々と予想がついてしまうのはアリバイ崩しの宿命ですね。

No.2 5点 測量ボ-イ
(2014/08/30 17:12登録)
題名に「・・・密室」と付きながら、トリックはやや脱力系。
これなら後半のアリバイトリックの方がみどころがあったの
では?

No.1 5点
(2012/07/11 00:09登録)
タイトルの密室は、オート・ロックでないホテルの部屋を利用したものですが、どうということもないトリックで、しかも気づかれれば犯人に直接つながる証拠がすぐに見つかってしまうという問題を抱えた方法です(実際にそういう話になります)。それよりもメインになるのはアリバイ崩しです。作中では列車を密室に見立てたりもしていますが、それはこじつけでしかないでしょう。
作者は鮎川哲也から多大な影響を受けたそうですが、アリバイというだけでなく、容疑者を絞り込んでいくあたりの展開も、ちょっと感心させてくれました。偽アリバイの構築方法も、凝ったことをやってくれていますが、鮎川と比較すると、トリック解明のプロセスに論理性が乏しい点、不満が残ります。また複雑な方法を採った理由が不明確で、推理小説というよりトリック小説になっているのが、クイーン好きの鮎川とは違うところです。

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