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ミステリの祭典

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死を望まれた男
ウェクスフォード警部/別邦題「友は永遠に(とわに)」

作家 ルース・レンデル
出版日1988年04月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2025/08/27 20:29登録)
(ネタバレなしです) 1969年発表のウェクスフォードシリーズ第4作の本格派推理小説です。英語原題は「The Best Man to Die」で、ベスト・マンについてはアガサ・クリスティーの「ヒッコリー・ロードの殺人」(1955年)でも説明されていますが結婚式の新郎の付き添い役を意味しています。電気工のジャックの結婚式でベスト・マンとなる予定だったトラック運転手のチャ-リーが殺されます。金回りのいいチャーリーの稼ぎに注目したウェクスフォード首席警部の捜査に対してジャックたちが労働者が金を持っていて何が悪いと反発したのには驚きました。英国の格差社会の一端を見せられたような気分になります(ウェクスフォードは中産階級側なんでしょうね)。今回のウェクスフォードは自分の所有物でない犬の散歩、担当外の交通事故の捜査、さらに終盤での思わぬトラブルと色々なことに巻き込まれています。事件の背後関係が複雑過ぎてやや読みにくい謎解きでしたが、現場実験しても真相に気づけなかったバーデンたちと実験に参加しないで気づいていたウェクスフォードとの対比が鮮やかです。

No.2 6点
(2019/04/21 22:51登録)
レンデルはずっと前に『薔薇の殺意』を読んだことがあるだけで、そのデビュー作にはあまり感心しなかったことぐらいしか記憶に残っていません。それでその後もなんとなく避けてきた作家だったのですが、やはりそれではいかんと思い、この第7作(ウェクスフォード警部シリーズとしては第4作)を読んでみたのでした。
原題 "The Best Man to Die" は様々な意味を含んでいると訳者あとがきにも書かれていますが、邦題としては光文社文庫の『友は永遠(とわ)に』の方が、ミステリらしさということでは疑問があっても内容に即しています。この内容に即していることを印象づける事件解決後のラストの思わぬ出来事の苦い味は、さすが文学的に高い評価を受けている作家と思えました。
自動車事故の「実験」部分では、すぐその結論の欠陥に気づきましたが、これはイギリス人にとっては意外な盲点になるのかもしれません。

No.1 7点 Tetchy
(2009/09/06 20:37登録)
メインの被害者となるチャーリー・ハットンの、周囲の人々に与える嫌悪感がレンデルにしては描き込みが足りず、薄味だったように思われる。
2つ目の、ファンショーの事件がハットン殺害事件に結びつくのは容易に想像できたが、犯人の隠し方がいかにもレンデルらしい手法でニヤリとした。

今回感心したのは、キングズマーカム署に備え付けられたエレヴェーターの使い方。
この小道具をコミカルに、そして有意義に活用している手際は見事。

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