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ミステリの祭典

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ソフトタッチ・オペレーション
神麻嗣子シリーズ

作家 西澤保彦
出版日2006年11月
平均点5.00点
書評数3人

No.3 5点 メルカトル
(2024/10/09 22:25登録)
拉致女性が密閉空間にテレポートしてくる奇怪な監禁事件、男の手料理が招く連続怪死、辻褄があわないことだらけの豪邸内の殺人事件ほか5つの不思議な超常事件を、おなじみ神麻嗣子、神奈響子、保科匡緒が、異常な動機の犯罪を論理で解き明かす。
華麗な「論理の神業」が続出の〈チョーモンイン〉シリーズ。
Amazon内容紹介より。

まず最後に配された表題作(中編)は五人の女性と一人の男性が、密閉された空間に監禁される話です。誰がなぜそんな事をするのか・・・。一応伏線は張られているものの、長い割りには真相はあっけなく開陳されます。これはちょっと期待外れでした。

他の短編もインパクトに欠け、謎は魅力的ながら結局は拍子抜けで終わってしまい、超能力もトリックに直結している訳ではなく、背景として設定されているに過ぎません。
意外だったのは、自分の作った料理を食べた者が全て事故などで死んでしまう『捕食』の動機ですね。これは成程と思いました。他は全体的に薄味で妙味に欠けると言って良いでしょう。

No.2 5点 虫暮部
(2021/11/28 10:07登録)
 「捕食」のストーリー部分、「変奏曲〈白い密室〉」の超能力とはあまり関係ない部分の謎解き、は面白かった。
 しかしチョーモンインに“霊”は鬼門では。どこまでアリかと言う世界設定がぶれるでしょ。表題作、工夫は見られるが、こういう真相は嫌いだ。

No.1 5点 E-BANKER
(2012/03/24 00:36登録)
神麻嗣子、保科匡緒らお馴染みのメンバーが活躍する“チョーモンイン”シリーズの作品集。
既出の短編4作品+書き下ろしの中編表題作という「豪華な(?)」構成。

①「無為侵入」=「あくまでも本人の意志により住んでいる家から立ち退かせることができるのか?」という命題から入る本作。いきなりサイコキネシスやらお得意の超能力全開だが、真相は一応ロジカルなものに。
②「闇からの声」=ライトホラーっぽい作品。プロットはよくある手のものだが、単純なだけにラストの反転が鮮やかに決まった印象はある。
③「捕食」=自分が作った料理を食べた人間が必ず死ぬ(!)という宿命を背負った男・・・そこには息子に対する母親の異常な愛情と怨念があった。これは見せ方が面白い。
④「変奏曲<白い密室>」=雪の降り積もったお屋敷と殺人事件・・・そう、まさに「雪密室」を扱った正統な「本格ミステリー短編」だよな? でもこの真犯人ってどうなの? 背景についての説明が全くないって!?
⑤「ソフトタッチ・オペレーション」=ある居酒屋で呑んでる途中で急に意識を失い、気付けば核シェルターのような密閉空間に閉じ込められた3人・・・作中で岡島二人の「そして扉が閉ざされた」が引き合いに出されてますが、そこは当然西澤風の味付けがなされてるわけで・・・個人的には「そして扉が・・・」+「麦酒の家の大冒険」というような感覚だった。ただ、プロットは大味。

以上5編。
正直、あまり面白いとは思えなかった。
多分にキャラ小説のような味わいで、超能力+ロジックというのが特徴なのだろうが、中途半端という印象しか残らない。
まぁ、このシリーズが好きな方には面白いのかもしれないが・・・
本編とは関係ないが、文庫版あとがきにある作者から故・宇山日出臣さん(元講談社の名物編集者ね)宛ての回顧文が味わい深くてなかなか良い。
(③がベスト。④⑤も楽しめはするが・・・)

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