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ミステリの祭典

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雪冤

作家 大門剛明
出版日2009年05月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 ぷちレコード
(2021/10/09 23:05登録)
死刑制度の根本を問う真摯な社会派の姿勢を貫きながら、本格もののケレンの味を余すところなく発揮している。
あまりにもどんでん返しが続くので、本当に辻褄が合ったのか不安感が残ったが。

No.2 6点 名探偵ジャパン
(2018/07/13 16:31登録)
色々と惜しすぎる傑作な気がします。
空さんの書評にあった「あの場面」とは、恐らくあれのことだと思うのですが、確かにあれには私も驚き、「何やねん! こいつ!」と激しく憤りました。このテンションを保ったまま展開が進めば大傑作になりえたかもしれなかったのですが、その後は、一気にトーンダウンというか、お決まりな展開に移行していってしまいます。
ラストのどんでん返しも、決して悪くはないのですが、この作品にそれを求めていないというか、取って付けたような印象は拭えませんでした。(生活反応の有無でばれるのでは?)「ミステリしよう」という作者の思惑が裏目に出てしまったのかもしれません。

No.1 6点
(2013/07/30 23:12登録)
死刑と冤罪の問題を扱った社会派ミステリという一般的評価はそのとおりですが、裁判シーンもなく、地味なストーリーでもありません。最初からかなりエンタテインメントしています。しかし、だからといってテーマに対するアプローチが浅いわけではなく、登場人物たちの対話を通して何度も丁寧に熱く語られます。さらにちょうど半ばあたりで起こる出来事には驚かされました。このあたりまでは文句のつけようがないほどです。
しかし、最後の解決部分には不満がありました。まず八木沼の派手な立ち回りは、その後の展開から見ても不必要でしょう。また真相については、なぜそこまでの覚悟をしたのか心理的に説得力がありません。どんでん返しの連続についても、北村薫氏の選評どおり逆効果だと思いますし、論理的にも、終章の証拠文書が、いつ、なぜ書かれたものなのか、偶然(全く証拠にならない)とする以外説明がつきません。

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