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ミステリの祭典

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絵に描いた悪魔

作家 ルース・レンデル
出版日1986年02月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 6点 HORNET
(2020/09/26 18:45登録)
 ノンシリーズの処女作となる本作。
 とある町を舞台にした狭い人間関係の中で、その愛憎が織りなすドロドロした感じはこの頃から健在。ただ、この後のノンシリーズ作品で見られる、人の異常性や秘められた嗜好性などの点ではまだまだ振り切れていないとは思う。
 しかし、ノンシリーズ作品はサスペンスという評価が定まるレンデルだが、本作はフーダニット(&ハウダニット)のミステリとして成り立っている。そのトリックも真犯人も、十分に意外な仕掛けだった。
 ノンシリーズ作品を今後もこまめに読み続けたい。

No.2 6点 nukkam
(2020/01/05 13:21登録)
(ネタバレなしです) ルース・レンデルの作品はウェクスフォードシリーズが本格派推理小説、非シリーズ作品がサスペンス小説という評価が一般的ですが、初の非シリーズ作品である1965年発表の本書はプロローグこそサスペンス小説風ですが全体的には本格派推理小説で、後年作品で高く評価されている異常心理描写を本書に期待すると肩透かしを味わいます。一度は自然死と判断されますが殺人の疑惑が生まれ、ではどのようにして殺害したのかというハウダニット重視の謎解きがパトリシア・モイーズの「死の贈物」(1970年)を彷彿させます(使われたトリックは別物です)。この種のトリックは専門的になりやすいのでただトリックの正体だけ説明されても一般的読者は感心しませんが、巧妙な謎解き伏線を用意してあるところが上手いです。非シリーズ作品のため本格派ファン読者からは敬遠されやすく、サスペンス小説として読むとインパクトが弱いことからレンデル作品の中では存在感の薄い作品ですけど。余談になりますが本書の角川文庫版が翻訳家でもあった小泉喜美子(1934-1985)の最後の翻訳作品だそうです。

No.1 4点 Tetchy
(2009/08/21 21:20登録)
プロットはいい、というより水準レヴェルである。ただ、登場人物が今一つ抜き出てなかった。各々の描き分けられ方は確かに上手く成されているが、どうもステレオタイプに留まっている感がある。
やはり結局小説を生かすのはあくまでその中の登場人物であり、たった一人の個性的な人物が脇役であっても、そこにいれば、忘れ得ぬ一編となるのだ。

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