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ミステリの祭典

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閃光

作家 永瀬隼介
出版日2003年05月
平均点8.00点
書評数4人

No.4 5点 メルカトル
(2015/01/18 22:17登録)
硬質な文章で描かれた社会派推理、或いは警察小説か。
主人公の二人の凸凹刑事コンビ、三億円事件の犯人たちの現在、そして過去、謎のホームレス老人。これらが入り乱れてストーリーは展開し、やがて一点に収束していく。主要登場人物だけでも十人を超え、目まぐるしく場面が変わるので、物語を追いかけるのに集中力を要する。コンディション不良もあり、正直疲れた。よって、本来ならこれは力作だとか、素晴らしいプロットだとか思わなければいけないところだろうが、どうも今一つピンと来なかったのは否めない。
謎に包まれた犯人たちの行動は、実際の容疑者のそれをなぞったもののようだし、要するに本書はそれを軸に組み立てられた、半ノンフィクション小説と言っても良いと思う。作者は、目の前の三億円事件と言う材料を上手く料理したに過ぎず、さして称賛されるべき作品とは思えない。まあ、私の趣味ではなかっただけの話で、こういった社会性の強い、ドキュメンタリータッチの小説が好みの方には、これ以上ない逸材となっているのかもしれないが。

No.3 10点 kowai
(2014/05/05 18:47登録)
一気読みでした。緻密なストーリーを書く方だなと、感動。

No.2 7点 makomako
(2013/03/02 17:10登録)
 3億円事件は学生時代に経験した一大事件だった。その真相が、このようなものであったのかと思ってしまうほどの迫力と現実感がまず素晴らしい。ストーリーの展開も良く、描写されている登場人物があちこちに変化して普通は分かり難くなってしまいそうなのだが、ほとんど混乱なく読めてしまうのは作者の筆力なのでしょう。
 ただ登場人物が好きでないなあ。警察はこんなに下品で若いのがちょっとしたことですぐ切れて先輩の胸倉をつかんで怒鳴りあげたりするのかなあ。 
 わたしは官憲が好きとはいえないが、これはちょっとひどい。これではやくざよりよっぽど悪そうではないか。
 まあ犯人がある程度めぼしがついたところで、のっぴきならないお家の事情でうやむやになったというようなことは何となくありそうですがね。

 

No.1 10点 りんちゃみ先輩
(2009/07/12 08:40登録)
昭和の大事件、三億円事件を題材にしている。登場人物の納得の絡みには素晴らしい構成力があり、物語にぐんぐん引込まれ、読後は、これが未解決事件の本当の真相だったのかと思うほどだった。リアルタイムでこの事件報道を知っている私は胸が締め付けられる程の感動を覚えた。

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