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ミステリの祭典

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カリオストロの復讐
怪盗ルパン

作家 モーリス・ルブラン
出版日1952年01月
平均点3.67点
書評数3人

No.3 5点 クリスティ再読
(2022/11/01 18:41登録)
「カリオストロ伯爵夫人」をやったからには、その後日譚の本作。
「伯爵夫人」がルパンが「ルパンになる前」のデビュー戦を描いた作品のわけだが、この「復讐」ではもう50歳、老境に入るルパン。「伯爵夫人」では、クラリスの産褥による死と生まれた子供ジャンの誘拐という悲劇が幕切れに用意されているのだが、この誘拐されたルパンの子、ジャンの話が落着しないと、「ルパンの人生」が落着しない....そういう大きな構成で書かれた「ルパン、完結編」のわけである。
実際、ルブランは「虎の牙」で一度ルパンものを止めようと思ってたそうだが、そうもいかずリブートした「八点鐘」に続く長編が「伯爵夫人」(1924)。この時点で本作(1935)の構想が出来ていた、ということになる。とはいえ、本作の後に2作ありそれが時系列で本作より後にはなっているけども、「ルブランの名誉を傷つける」とルブランの息子が封印したという話。だからやはり、本作がルパン・サーガ最終作、と捉えるのが収まりがいい。

なんだけども、やはり71歳のルブランの筆力は衰えている。「伯爵夫人」の熱気と比較したら全然だめ。本作は過去作の登場人物をいろいろ登場させたりとか、大団円を目指した「老境のルパンの心境小説」みたいなもの。だから冒険が盛り上がらない。ルパンの息子、と思われる人物が登場するのだが、その「息子」にカリオストロ伯爵夫人がかけた呪い「息子を泥棒にせよ、できれば殺人者に。そして父親と対決させよ」が効いているのかそうでないのか?を巡って、父親ルパンが悩む話。カリオストロ伯爵夫人の死もそれに立ち会った人物の証言が作中で語られる。

バレだけども、最後まで「親子の名乗り」なんてない。そんなの粋じゃないからね。そういう節度は最後までしっかりある。面白いとまではいかないけども、がっかりまではしない。

No.2 3点
(2014/08/08 09:41登録)
有名な『カリオストロ伯爵夫人』と勘違いして手にしました。

ルパンは怪盗ではなく探偵役なのか、と読み始めで思い、さらに読み進むとそうでもなく、巻きこまれ型では、という流れになってきます。なんか変だなぁと思いつつも読み進みますが、ついに不安になり、いろいろ調べてみると・・・

本作は、『カリオストロ伯爵夫人』を前提とした後日談のような位置づけのようです。しかも、シリーズ後半の作品で、いままでのシリーズ登場人物も絡んでくるようです。
ルパン・シリーズというのは、シリーズの進行とともに、主人公ルパンが年を重ね成長してゆくスタイルをとっているようで、シリーズそのものがルパンのライフ・ストーリーとなっているようです。
といったシリーズなだけに、『怪盗紳士ルパン』『奇岩城』の2作を読んだだけで本書を手にとったのは、馬鹿げた選択だったのかもしれません。

ルパンに深くかかわりのある人物が殺人事件に巻き込まれ、そのためルパン自身も渦中の人となるという設定で、その裏には実は・・・

まあ、単体でも面白そうな気もしますが・・・
とにかく一連の作品を読んでから、もう一度読んでみましょう。
ただ、そうはいっても冷静に考えてみて、本作がそれほど楽しめる代物かというと、そうではなく、ストーリー・ライン自体がイマイチかな・・・
ファンがルパンの後半生の一部を楽しむだけの内容なのでは・・・
いや作品には罪はない!?
評点は本作を選んだ自分自身に対するものです。

No.1 3点 Tetchy
(2009/06/19 22:32登録)
まあ、こんなものかというのが正直な感想。
内容的にはリュパンの息子(らしき男)が出てきていつもよりも好奇心が沸いたが…。
犯人の判明の仕方が実にフランス的だったとだけ書いておこう。

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