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ミステリの祭典

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炎のなかの絵
異色作家短編集

作家 ジョン・コリア
出版日1961年01月
平均点6.00点
書評数4人

No.4 6点 クリスティ再読
(2024/09/28 21:13登録)
異色作家短編集という企画自体、とっても常盤新平カラーの強いものだったわけだが、「ミステリ嫌い」を公言する常盤らしさがよく出た作家というと、コリアとサーバー、なんだろう。

けどさ、コリアだと狭義のミステリに入る作品もあるんだよね。創元の世界傑作短編集にも収録の「クリスマスに帰る」とかそうだし、サンゴヘビを夫が妻にプレゼントする「記念日の贈物」も、衝動的に殴って愛人を殺した娘のために父が後始末する「雨の土曜日」など、意外にミステリ色がある。まあとはいえ、皮肉な味わいがこの人の持ち味。サクッとイヂワルな話、というといいのか。

だからユーモアが前に出る作品が妙にうれしい。ミストラルを教えるため漁師から優遇される猫の話「マドモアゼル・キキ」、ハリウッドをノミの視点でパロった「ガヴィン・オーリアリ」とか評者は好きだな。でこの作家「悪魔」が大好き。だから妙にはぐらかされた教訓譚みたいにみえることがある。ドン・ジョバンニみたいな「炎の中の絵」や生死が不明な「旧友」が、物語のお約束の「悪魔」とか「機械仕掛けの神」とかを「わざとわかってやってる」独自の芸風。

ある意味、超然としたあたりが持ち味かな。「ニューヨーカー」という雑誌カラーを体現しているというべきか。

(個人的には真っ白な猛毒キノコで有名なドクツルタケが登場する「死の天使」がヘンにお気に入り。直後に気づいて胃洗浄し一命を取り留めた人によると、半端ない旨味が出て美味しいそうだ、死ぬけど)

No.3 6点 蟷螂の斧
(2021/06/25 16:45登録)
①夢判断 9点 法月氏や阿刀田氏にオマージュ作品がある。青年がビルから落ちる夢。「奇妙な味」にピッタリの作品
②記念日の贈り物 7点 毒蛇を妻にプレゼント。ユーモア系
③ささやかな記念品 6点 ガラクタなんだけれどいわくのある物ばかり集める老人。ブラックユーモア
④ある湖の出来事 5点 妻が不明に。オチを具体的に書き過ぎ
⑤旧友 4点 死んだ妻が酒場にいる。そして妻が好きだった男も。ゴースト?
⑥マドモアゼル・キキ 6点 雌猫の復讐物語。人間だったら怖い
⑦スプリング熱 4点 腹話術用にスプリングを入れた人形を作ったが・・・
⑧クリスマスに帰る 8点 世界推理短編傑作集5(新版)で書評済
⑨ロマンスはすたれない 6点 倦怠期の二組の夫婦に起こった出来事とは?
⑩鋼鉄の猫 5点 可愛がっていたネズミが・・・
⑪カード占い 6点 占いに来た男には莫大な相続遺産が入ると出た・・・
⑫雨の土曜日 6点 娘が男を殺してしまった父親は・・・
⑬保険のかけ過 7点 お互いを愛しすぎる夫婦は食費を削っても保険に入ることに・・・
⑭ああ、大学 6点 大学をあきらめ賭博師になったが・・・
⑮死の天使 5点 夫は妻に毒キノコを・・・
⑯ギャヴィン・オリアリー 6点 ノミが人間の男のように行動。ユーモア系
⑰霧の季節 8点 双子の女性を騙し結婚するが・・・艶笑系
⑱死者の悪口を言うな 8点 医師は自宅の壁を直しただけなのに疑われる・・・
⑲炎の中の絵 5点 中世の人物が現れた。悪魔との契約?
⑳少女 4点 ロリコン系?

No.2 5点 ボナンザ
(2016/05/05 21:19登録)
皮肉やブラックユーモアの凝った短編集。
ストーリーはどれもありがちだが、飽きさせない。

No.1 7点 mini
(2009/08/20 10:14登録)
異色短編作家ジョン・コリアは、英国作家らしい気品とユーモアと皮肉な切れ味で、本場アメリカの異色短編作家達とは一線を画している
特に得意なのが擬人法で、読者によっては擬人法という手法を好まない人もいるみたいだが、コリアの擬人法は代表作の1つ「みどりの想い」を見ても素晴らしいものである
残念ながら「みどりの想い」はこの短編集には収録されていないが、代わりに「マドモアゼル・キキ」や「ギャヴィン・オリアリー」といった「みどりの想い」さえ上回るような傑作短編が入っている
その他の短編もコリアの持ち味が存分に発揮された粒揃いの短編集だ
ところでこの異色作家短編集という全集の中でもコリアのは収録短編数が20編と多い方らしく、コリアの場合は各短編の長さが他の作家に比べて短めであるということだね

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