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ミステリの祭典

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花園の迷宮

作家 山崎洋子
出版日1986年09月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 makomako
(2012/01/21 19:07登録)
 奇抜なトリックがあるわけではないが、謎はそれなりに面白い。昭和初期の遊郭ってこんなんだったのかと納得しながら読んだ。そのままだと滅入ってしまいそうな暗い雰囲気だが、主人公の明るい性格が小説を照らして最後まですらすらと読めた。
 乱歩賞のなかでも好きなほうの小説です。

No.2 7点 Tetchy
(2011/12/12 23:03登録)
元シナリオライターによる乱歩賞受賞作とのせいか、いやに改行が多いなぁと思ったが当時大学生だった私はそのためかクイクイ読み進むことが出来た。
この犯人はすれっからしの読者であれば十分想定の範囲内で、当時さほどミステリを読んでいない私でも解ってしまった(当時の性格の悪さゆえか?)
しかし今では数多の作品が綴られている遊郭の世界を描ききった本書は当時は斬新で面白く読めた。
たしか映画化もされてますね。

No.1 7点
(2011/12/09 21:23登録)
1986年の江戸川乱歩賞は、昭和7年横浜の遊郭を舞台にして、娼館福寿に売られてきた17歳の少女の視点から描かれた作品です。
中島河太郎氏は選評で「文章にうるおいがない」と書いていますが、個人的には賛成できません。確かに一文一文は短く、また改行も多いのですが、それでも必要なことは充分表現されていると思うからです。謎解きミステリですからして、同じく娼婦の世界を描いているからといって、たとえば宮尾登美子の『寒椿』なんかと比較されるべきではないでしょう。それでも、そのような純文学作品を思い出してしまったほど、当時の遊郭の様子が伝わってくる、小説としてのおもしろさを持った作品です。
謎解き面では、様々な人物を複雑に絡み合わせすぎて、最後の意外性はあるのですが、すっきり納得とまでは行かなかったように思います。手がかりがフェアに提示されていないところもありますが、まあいいでしょう。

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