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ミステリの祭典

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虚夢

作家 薬丸岳
出版日2008年05月
平均点6.20点
書評数5人

No.5 5点 yoneppi
(2013/07/04 21:41登録)
「天使のナイフ」を読んだのは随分前。今回は字が大きくて読みやすい。そして、面白いのだが期待ほどには…。

No.4 6点 ayulifeman
(2012/05/28 00:50登録)
いたたまれない。
被害者の怒りの持っていきどころが加害者を超えて社会に向けられる。
そのための伏線が痛々しい。
つらいね。
ぐぐぐいっと一気読み。

No.3 6点 E-BANKER
(2011/07/11 22:42登録)
「天使のナイフ」・「闇の底」に続く長編第3弾。
前2作に続いて、犯罪捜査&司法の問題点をテーマに現代社会を抉っていきます。
~愛娘を奪い去った通り魔事件の真犯人は「心神喪失」で罪に問われなかった。運命を大きく狂わされた夫婦はついに離婚するが、忌まわしい事件から4年後、元妻が街で偶然すれちがったのは、忘れもしない「あの男」だった・・・~

「少年犯罪」そして「幼女への性犯罪」に続いて、今回のテーマは「刑法39条」。いわゆる「心神喪失者は罪に問われない」・・・
相変わらず重たいテーマを出してきますねぇー。
重大犯罪には付き物のようなテーマですが、確かにこれも判断が難しい問題ではあります。
犯罪者にも人権はありますが、それ以上に被害者、そして被害者の家族の人権・権利は尊重すべきではないかというのが個人的な意見ではあります。
「統合失調症」についても、以前仕事の関係でいろいろと話を聞いたテーマであり、興味深く読まさせていただきました。
本作については、この「刑法39条」を逆手にとったようなトリック(?)が終盤に炸裂!
まぁ、それが本作のメインプロットとなるわけですが、前2作と比べるとやや弱いかなというのが正直な感想です。
前2作は、終盤のサプライズが見事だっただけに、どうしてもインパクトで劣ってしまうような気がする。
ラストももう一捻りあればなおよかったかなぁ・・・
(すすき野のキャバクラってそういうシステムなんですね。へぇー変わってる!)

No.2 6点 シーマスター
(2011/06/06 23:33登録)
少年法に挑んだ『天使のナイフ』で華々しいデビューを飾った作者が、3作目となる本作では「刑法第39条」・・・心神喪失者の行為は罰しない・・・をテーマに再び「法に守られた殺人」の前に苦悩する被害者遺族にスポットを当てる。
ただどうだろう。これほどの事件で、視聴率や売り上げ部数のためならカラスも飲み込むようなマスコミ群が本当に「ひく」だろうか。

読み進むに連れて、「これはミステリとかサスペンスと言うより統合失調症の話ではないか」と思えてくるが、この作者のことだから当然一筋縄ではいかない作りにはなっている。
見事なまでに類が友を呼んだり、宝くじ級の繋がりがあったりするところはデビュー作の香りそのままだが、これは欠点というより読者を圧倒的なパワーで引っ張る作者の作風の一部と思えば全然許容範囲かなという気もする。
本格モノというわけでもないし、何と言ってもこの人の、社会の影を描く物語のリーダビリティには比類なきものがあるのだから。 

ただ本作に関しては、デビュー作や第2作に比べるとインパクトが弱い感は否めない。この作者には優等生的に纏まる話よりはナイフのように危ない作品を期待したい。

No.1 8点 じゃすう
(2011/03/08 22:39登録)
天使のナイフで注目していましたが、今回のテーマは刑法39条。
心神喪失者の無差別殺人者が、数年の後に社会に放たれているという現状。そうした精神医療業界と精神鑑定の是非を、被害者遺族の視点から問うものとなっています。
読みやすく、重いテーマですが主人公に感情移入しながら読むことができました。ラストのどんでん返しは、予想していましたが深く頷かされました。説得力があったからです。

文庫化の際には加筆修正して、心神喪失者等医療観察法にも触れてほしいところです。

あと、精神障害者全体の犯罪率が低いということにも触れられていましたが、それは正確には、彼らの権利を擁護する側が意図的にミスリードさせるために発信している情報なので、うのみにしない方がいいでしょう。
もちろん、全員が危険なわけではありませんが、そういった業界のフェアじゃない情報開示の部分はかえって偏見を強めるだけで、きちんと指摘されてしかるべきです。
(統合失調の重大犯罪率にはわざと触れないように『精神障害者全体』の犯罪率としてますから)

現実にあった、いわき病院事件での、病院側の無責任な対応などもありますし、注意深く考えていかなければなりません。

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