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ミステリの祭典

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夜の黒豹
金田一耕助シリーズ

作家 横溝正史
出版日1965年01月
平均点4.67点
書評数3人

No.3 4点 nukkam
(2016/01/16 02:23登録)
(ネタバレなしです) 1964年発表の金田一耕助シリーズ第26作で、短編「青蜥蜴」(1963年)(私は未読です)を長編化したものです。この年に横溝は本書と短編「蝙蝠男」を発表した後、引退状態となり執筆中の「仮面舞踏会」も中絶してしまいます。1970年代に復帰して「仮面舞踏会」も完成できたのですが、もしかしたら本書が最後の長編になった可能性もあったわけです。この時期の横溝作品らしく、登場人物の紹介が報告や証言によるところが多くて直接描写が少ないため人物の印象が薄く、それでいて人間関係が非情に複雑です。登場人物リストを作りながら読んだ方がいいと思います。中盤で金田一耕助による27の疑問リストが登場して謎解き好き読者の心をくすぐりますが、終盤はなぜか犯人視点の犯罪小説風になり、せっかくの疑問リストに対して十分な説明がされないのが残念です。

No.2 5点 りゅう
(2011/10/09 17:05登録)
 再読のはずですが、全く覚えていませんでした。横溝作品に共通の事ですが、この作品も人間関係が複雑で、特に物語途中で登場して失踪する朱之助を巡る人間関係は複雑すぎて、混乱しました。作品の途中に「疑問のかずかず」という章があって、金田一耕助が疑問点を箇条書きで整理しているのは、わかりやすくて良かったと思います。真相は結構面白いのですが、謎解きとしては比較的難易度が低く、印象に残らない作品です。私は真相の一部しか見抜くことができませんでしたが、じっくり考えればほとんどの謎を見抜くことは可能だと思います。

(若干のネタバレをしています。)
 岡戸竜平が息子の朱之助と後妻の操との密会を受認していることや、犯人が朱之助に対して〇〇に行くように電話をしていることなど、作品の設定上で疑問に感じる箇所がありました。

No.1 5点
(2009/04/26 11:49登録)
ある意味『ABC殺人事件』と共通するところのある筋書きなのですが、ABCに比べて無理があるところが気になりました。最初の事件で使われるトリックが最も意外であることを考えると、そこから全体を構成していったための不自然さかもしれません。横溝正史らしい通俗的な匂いがパズラーの企みを隠している点は評価できますが。
真相解明の推理が金田一耕介と等々力警部との間で行われた後、最後の70ページぐらいは、真犯人を罠にかけて証拠をつかむ話になってきますが、この最後の部分にあまり魅力を感じません。短編『青蜥蜴』を長編化したものだそうですが、ちょっと長くしすぎたように思えます。

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