home

ミステリの祭典

login
不死蝶
金田一耕助シリーズ

作家 横溝正史
出版日1958年01月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 HORNET
(2025/01/02 16:58登録)
 鍾乳洞、夢遊病…金田一シリーズでよく用いられる題材ではあり、横溝作品らしい雰囲気とはいえる。もう一本収められている「人面瘡」にしても。


<ネタバレ>
 上に書いたように、23年前の失踪事件、古い村の名家二家による争い、鍾乳洞…と、横溝正史らしい作品舞台はばっちり。ただ、起きた殺人事件の真相自体は、ある意味それらとは無関係で、いたって世俗的、短絡的、衝動的なもので…まぁそういう逆方向での「意外な真相」ではあるのだが、つくりの粗さは否めなかった。
 「人面瘡」のほうがむしろ、真相は過去の人間関係に根差したものがあり、長さ的にもちょうどよかった気がした。

No.2 6点 nukkam
(2017/04/23 22:40登録)
(ネタバレなしです) 1953年に雑誌連載された中編作品を加筆修正して1958年に長編作品として発表された金田一耕助シリーズ第15作の本格派推理小説です。鍾乳洞での殺人を扱っていることから名作「八つ墓村」(1951年)を連想する人もいるでしょうが雰囲気はかなり異なります。和風「ロメオとジュリエット」的な恋愛悲劇と仇討ちをモチーフにしてロマンチックな人間ドラマを意識しています。ミステリーですから冷酷な殺人事件はありますし、結末がハッピーエンドかというと微妙なところではありますが。金田一耕助が激情に駆られる場面があるのが珍しいですね。

No.1 5点
(2009/01/06 19:17登録)
23年前と現在の同じような殺人事件を組み合わせて、読んでいる間はなかなかおもしろかったのですが、考えてみるとずいぶん疑問点のある作品です。鍾乳洞の中で消えてしまった女の謎が一応メインと言えるのでしょうが、これはきれいに解き明かされています。しかし、殺人と逃走の時間的経緯に問題があると思いますし、現在の第2の殺人遂行にも無理があります。警告の手紙の送り主とその理由も結局不明なままです。
角川文庫版に併せて収められている中編「人面瘡」は、テーマも、また横溝正史にはおなじみの点も、ひょっとするとある名作ホラーの発想源ではないかという気がしました。こっちは秀作だと思います。

3レコード表示中です 書評