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ミステリの祭典

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太陽の坐る場所

作家 辻村深月
出版日2008年12月
平均点5.75点
書評数4人

No.4 6点 take5
(2020/06/07 23:49登録)
辻村深月さんの作品は、
登場人物が自意識過剰で、
読者も身に積まされるんですよね。
学生時代!って感じが男にも分かります。
作中に古事記やティファニーで朝食をが出てきて、
作者の山梨県でしたか、その頃影響を受けたものが
てんこ盛りなのかと想像します。
はじめの里見さんが伏線になっているところ、
ミステリーといえばミステリーですが、
まあ文学の側面が強いです。

No.3 5点 パメル
(2020/01/15 18:41登録)
卒業十年後のクラス会をめぐる青春ミステリ。
県立藤見高校の旧三年二組のクラス会は、毎年のように開かれていた。だが女優として活躍しているキョウコはいつも不参加だった。クラスメートたちは、次回はキョウコも来るようにともくろむものの、それぞれの高校時代の記憶が複雑な思いを揺さぶっていく。
誰が誰のことを話しているのか不明瞭な文章が多いが、嫉妬、悪意、後悔など、特に女性たちが抱く粘着性のどろどろした感情が、生々しく描かれているため読まされる。話の意外性をつくり出しているのは、相手の言動に対する勝手な思い込み。一方的な誤解が重なりドラマが生まれていき、ラストには驚きの真相が待っている。
過剰な自意識を持て余す青春期特有の人間模様が展開する本作をわがことのように思う人も多いのではないだろうか。小説としては面白かったが、ミステリ的には弱いのでこの評価。

No.2 6点 風桜青紫
(2015/12/20 00:56登録)
島津くんの絶妙なキモさがたまらん。この昆虫系男子め。ハゲのヒョロ男がタカビーのゲス女(男の前だと性格違うww)に惚れてしまうありさまが痛快すぎてニヤニヤが止まらないです。高校生ってもっと純粋で阿呆な生き物のような気がするけど、辻村ワールドの人間たちはたとえ小学生でも自意識過剰だからなあ……。ミステリとしては薄味(というかミステリ成分いらん)だけど、依田いつかも苦笑いのドロドロした人間模様は、まあ、面白いです。

No.1 6点
(2013/01/16 21:12登録)
高校3年生時代の同級生5人のそれぞれの視点から描かれた5つの章に、プロローグとエピローグを付け加えた構成の作品です。
だましのテクニックは取り入れられていて、それが重要な要素になっているのですが、全体としてはあまりミステリという感じはしませんでした。むしろそれぞれの登場人物たちを描いていく心理小説というべきでしょう。前半は、まあよくもこんなに屈折した(特に由希の祖母に対する感情)者ばかり集めたもんだ、と思えるような展開です。
だましの方は、最初から明らかな違和感がありますし、不自然な書き方になって意味が取りにくいところもあって、その点が明かされるところでは、ああそういうこと、という程度でした。ただ、そこからラストに向かっての収束はなかなかのものです。小説が完結してみると、最初の2人の話が、全体の中で坐り場所を見失っているように思えるのは不満でしたが。

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