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ミステリの祭典

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伊集院大介の新冒険
伊集院大介シリーズ

作家 栗本薫
出版日1994年04月
平均点4.67点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2024/10/17 12:37登録)
(ネタバレなしです) 1994年発表の伊集院大介シリーズ第3短編集で、シリーズ短編を7作収めています。タイトルから「伊集院大介の冒険」(1984年)と比較したくなりますが、推理による謎解きという点では残念な作品が増えてしまいました。「ごく平凡な殺人」の中で伊集院が自分のことを「新聞で殺人事件の記事を読んだだけで、僕にはどういうわけか、まるでテレパシーか透視能力者みたいに、たいていの殺人事件の真相(中略)がわかってしまうんだ」と語っていますがこれで解決では本格派推理小説としては問題作で、どうやって真相を見抜いたのかの説明が不十分では読者の不満が増すでしょう。その代わりではないでしょうが、本書の作品の多くは事件の背景にある秘密とそれが招いた殺人と言う悲劇性を強調し、伊集院は被害者だけでなく時に加害者への同情も示します。2000年代の長編作品でもこの手法は目立っており、さすがに長編だと謎解きの弱さが気になってしまいますが本書は短編なのでまあ個人的には許容範囲かなと思います。ちなみに「ごく平凡な殺人」は本書の中では推理にも配慮されている作品です。

No.2 4点 ボナンザ
(2024/05/04 22:51登録)
「私生活」とは逆にほのぼのしたように見せかけてえぐめな話が多い。

No.1 5点
(2019/06/07 23:41登録)
伊集院大介の活躍する短編7編を収録しています。全体的な印象をまず書かせていただくと、なんだか古めかしいなという感じでした。1970~80年台前半のイメージがあるのですが、実際の発表年は1992~94年です。「新冒険」というとクイーンの短編集をも思い出しますが、『神の灯』やスポーツ・シリーズを意識した感じはありません。
『顔のない街』と『ごく平凡な殺人』の2編は同じ少年の一人称形式で語られています。前者については、越して間もないわけでもないのに間違えた点には疑問を感じました。後者は、この事件が平凡なものなんてないという考え方の元になるとは考えられないと思っていたら、最後には何とかこじつけてくれました。『事実より奇なり』は「奇」の意味の捉え方が変です。そんな感じでもう一つ好きになれない作品が多いのですが、『盗癖のある女』は意外に気に入りました。

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