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ミステリの祭典

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ぼっけえ、きょうてえ

作家 岩井志麻子
出版日1999年10月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 ぷちレコード
(2024/04/10 22:14登録)
舞台は、明治期の岡山の遊郭。売れ残り女郎が、客に対して語り始めた身の上話そのままの物語。言ってみればただそれだけの、非常に動きの乏しい小説なのだが、それがとにかく怖い。
女郎が語る貧しい農村での思い出話は、飢饉あり、間引きあり、沢で腐る水子ありと、身震いする材料に事欠かない。女郎の口から発せされる古くさい岡山弁が、陰惨な暗幕で覆ってしまう。怪談話において、方言がいかに強烈な演出効果を生み出すものかを思い知ることになる。

No.2 7点 メルカトル
(2017/10/25 22:12登録)
岡山県の遊女が寝物語で客に自身の半生を語る表題作『ぼっけえ、きょうてえ』は、この短編集の中でダントツに怖いです。すべて口語体で岡山弁で描かれていますが、幸い私は学生時代岡山県出身の友人がいましたので、まったく違和感を覚えませんでした。まあしかし、岡山弁に馴染みのない方でも十分理解しやすい内容だと思いますので、それ自体が弊害になることはないでしょう。
ほかの短編はまさにジャパニーズ・ホラーと呼ぶに相応しい、土着色の濃い過疎の村を舞台にした怪談に近い物語です。しかも細やかな描写は時に心に突き刺さり、時に心に染み入ります。最早これは文学ですよ、文学。中身が中身だけにそうはいきませんが、文章だけ取ってみれば高校の現国の教科書に載ってもおかしくないような、素晴らしいリーダビリティを誇っています。
いずれも岩井氏の故郷である岡山を舞台にしており、因習深い村特有の陰惨な雰囲気が何とも言えません。ちなみに時代は明治辺りだと思います。
なお、表題作の意味は「とても、怖い」という意味です。このタイトルはなかなか秀逸ではないでしょうか。

No.1 7点 sophia
(2017/08/01 17:37登録)
コメントしてる人少ないかなとは思っていましたが、まさかNo.1ゲットとは(笑)この作品って結構有名じゃないんですかね。
表題作を含む四編から成るホラー短編集。「ぼっけえ、きょうてえ」「密告函」は人間の怖さを描いた話。「あまぞわい」「依って件の如し」は亡霊が出てくるタイプの話。
驚愕のオチで肝を冷やすというタイプの作品群ではありません。オチ自体は読んでいるうちに何となく見えてきます。しかしながら筆力、リアリティが抜群で、明治時代の村社会の風俗が手に取るように分かります。さらには一つの文が短く、小気味いいテンポを作り出しています。ホラーとしてというよりも物語として面白く読めました。

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