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ミステリの祭典

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キャリー

作家 スティーヴン・キング
出版日1975年01月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 ROM大臣
(2021/06/24 16:20登録)
狂言的な母親の異常な躾で育ったキャリーは、級友たちの嘲笑の中で初潮を迎えた。臆病で多感な少女が初めて、卒業前の舞踏会に晴れやかに出席した時、悪意で仕掛けられた豚の血が降り注いだ。
秘められていたキャリーのサイコキネシスは、悲しみと憎悪とともに爆発する。会場を、そして街を燃え上がらせた大惨事を、キャリーの心理と周囲の証言を織り合わせて綴る、モダンホラーの第一人者の処女作。

No.2 7点 Tetchy
(2016/06/12 12:46登録)
本書がこれほど好評を持って受け入れられたのは普遍的なテーマを扱っていることだろう。いわゆるスクールカーストにおける最下層に位置する女生徒が虐められる日々の中でふとしたことからプロムに誘われるという光栄に浴する。しかし彼女はそこでも屈辱的な扱いを受ける。ただ彼女には念動能力という秘密があった。
この単純至極なシンデレラ・ストーリーに念動能力を持つ女子高生の復讐というカタルシスとカタストロフィを混在させた物語を、事件を後追いするかのような文献や手記、関係者のインタビューなどの記録を交えて語る手法が当時は斬新で広く受けたのではないだろうか。

さてとにもかくにも主人公キャリーの生き様の哀しさに尽きる。
初めて彼女が母親の反対を押し切り、自分の意志で選択した行動。それが大惨事の引き金になるという皮肉。報われなかった女性にキングは壮絶な復讐と凄絶な死にざまを与える。

さらに本書が特異なのは女性色が非常に濃いことだ。それは主人公キャリーが女性であることから来ているのだろうが、キャリーを虐めているのは男子生徒ではなく女子生徒ばかりでキャリーの生活の障壁となっているのも前述のように狂信的な母親だ。
さらに生理という女性特有の生理現象がキャリーの念動能力の発動を助長させ、またキャリーの死を看取ったスージー・スネルがその直後生理になっているのも新たなる物語という生命の誕生を連想させ興味深い。

既に物語の舞台であるメイン州チェンバレンで大量虐殺が行われたことは物語の早い段階で断片的に語られる。従って読者は物語の進行に伴い、訪れるべきカタストロフィに向かってじわりじわりと近づいていくのだ。しかしながら1974年に書かれた本書で描写されるキャリーの虐殺シーンはいささかおとなしい印象を受ける。
いわば歩く無差別テロの様相を呈しているのだが、今日のこのあたりの描写はもっと強烈だろう。血の匂い立つような細かくねちっこい描写や痛みを感じさせるほどの迫真性に満ちた生々しさが本書には足りない。

今では実にありふれた物語であろう。が、しかし物語にちりばめられたギミックや小道具はやはりキングのオリジナリティが見いだせる。“to rip off a Carrie”などという俗語まで案出しているアイデアには思わずニヤリとした。

No.1 6点 ∠渉
(2013/12/28 18:42登録)
事件の後日談という構成で、まぁキングがおちぶれてたいた時期といこともあって、挑戦的なプロットですが、やっぱ面白い。どこにでも起こり得るいじめ問題そのものなんだけど、ホラーにすることによって、より人間のおぞましさが見えてきて面白い。こないだリメイクもされましたが、デ・パルマ版はやっぱ面白い!

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