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ミステリの祭典

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猫探偵正太郎の冒険 1 -猫は密室でジャンプする-
猫探偵正太郎シリーズ

作家 柴田よしき
出版日2001年12月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 メルカトル
(2017/11/27 22:11登録)
猫あるあるや猫トリビアが満載でほのぼのとした連作短編集。

家で飼っていたトラ猫もこんなことを考えていたのだろうか、こんな気持ちで生活していたのだろうかなどと、ちょっと切なくなってしまいました。
取り敢えず猫好きは一読の価値ありです。

肝心のミステリに関しては、本格あり、倒叙物あり、悲しい人間ドラマありと、様々なジャンルが収録されています。個人的にお気に入りなのは『正太郎と花柄死紋の冒険』です。人間が殺されるのはミステリだから慣れていますが、猫が殺されるとなると話は別です。その痛々しさが胸を締め付けます。
トリックやどんでん返しにさほど見るべき点はありませんが、見事なストーリーテリングぶりで、非常に読み心地がいいと言いますか、女性作家ならではの柔らかいタッチが心に響いてきます。掉尾を飾る『正太郎と田舎の事件』は最長の作品ですが、この人はこんな本格的な密室も描けるんだという認識を新たにしました。
本来なら6点が妥当な線だと思いますが、正太郎の魅力と同居人の天然ボケぶりに加点しました。

No.2 7点 名探偵ジャパン
(2017/02/09 13:16登録)
猫や犬といったペットが飼い主(人間)の言葉を解する世界。売れないミステリ作家の飼い猫「正太郎」は、同居人(飼い主)の周囲で起こる怪事件を、猫ならではの視点で解決していく。
とは言っても、全てが猫視点で描かれているわけではありません。人間視点の話は、一風変わったサスペンス調。猫視点の話は、オーソドックスな本格、という形態を取っています。特に猫視点での話が面白く、内容自体は使い古されたトリックの羅列なのですが、猫や動物同士の会話や猫としてのものの見方を入れてくることで、ひときわ違った楽しさが生まれてきます。ありふれた素材でも、やりようによってはまだまだ面白くできるという好例でしょう。

飼い主のことを「同居人」とあくまで対等な表現をするなど、クールな正太郎がかわいすぎます。ですが、愛猫を失った少女の涙に打たれて犯人検挙を誓うなど、その行動はハードボイルドヒーローそのもの。

私自身が猫好きなため、甘めの点数となってしまったかもしれませんが、同じような猫好きの方にはきっと満足していただける作品と思います。

No.1 7点 itokin
(2010/03/18 19:57登録)
猫好きの人必見です、だめ作家の飼い主と正太郎の掛け合いが面白く最高です。短編集ですがそれぞれ中身もあり飽きさせません。動物が主人公だとどうしても違和感が生じるものだがこの作家には其れがない、上手く猫を表現されてるとともに私と同様に柴田さんも相当の猫好きなんですね。

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