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ミステリの祭典

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帽子屋の休暇
クリッブ&サッカレイ

作家 ピーター・ラヴゼイ
出版日1998年10月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 7点 YMY
(2023/09/06 22:33登録)
ロンドンから汽車で数時間の海水浴場、ブライトンで双眼鏡越しに魅せられた女性、プロセロ夫人とその一家を観察し続けるモスクロップ。ある日、プロセロ母子と子守りの少女が消え、切断された人間の手首が見つかった。
覗き屋の目を通したブライトンの風俗描写は、ヴィクトリア朝世紀末の危うげな雰囲気を醸し出す。さらに、ストーカーのような変人を始めとする個性の描き分けといい、捜査が急展開されて謎をほぐし、何とも悠然たる結末に収束させる構成の妙といい、間然とするところがなく存分に楽しめる。

No.2 6点
(2020/02/19 11:13登録)
クリッブ部長刑事&サッカレイ巡査シリーズ第4作。
彼らが捜査するのは、海水浴場ブライトンで起こる、とある家族に関連した殺人事件。
といっても、殺人事件も彼らの登場も中盤あたりの2部からで、それまでの1部は、モスクロップという変わったおじさんによるリゾート地での人間ウォッチング(ようするに覗き)の描写に終始している。
なにか起きるか、だれが殺されるのかを1部でミステリー的に惹きつけておいて、じつは人間観察のみ、という作りはなかなかうまいやり方です。しかも、避暑地の描写にも引きこまれてしまいます。この1部はちょっと長すぎますが、退屈することはありません。もちろん1部にも、いろいろな要素が含まれていることは言うまでもありません。

そして2部からが本番。
じつは、事件も捜査・謎解きも2段階あり、そこが二度おいしいところです。
特に2つ目の事件は、やや不明感があるも、度肝を抜かれる展開に驚かされます。クリップの迫力のある謎解きが読みどころでしょう。専門的ではありましたが・・・

No.1 6点 nukkam
(2014/09/03 16:22登録)
(ネタバレなしです) 1973年発表のクリッブ部長刑事&サッカレイ巡査シリーズ第4作です(作中時代は1882年夏)。第一部はある種の犯罪の萌芽らしきものも描かれてはいますが、ミステリーとしてのサスペンスに乏しく冗長に感じます(後でサッカレイも「害がないかどうか何とも言えません」と述べています)。しかし第2部になってクリッブとサッカレイが登場してからは快調で面白くなります。第14章で犯人が判明しますがまだそれで終わりではなく、新たな謎が発生します。その謎解きについてはやや駆け足気味だし、専門的トリックが絡みますがそれを不満に感じさせないほど印象的な結末が待っています。現在でも有名な観光地ブライトンの描写も秀逸です(できれば現地図を添付してほしかったけど

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