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ミステリの祭典

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クリスマスに少女は還る

作家 キャロル・オコンネル
出版日1999年09月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 touko
(2011/04/01 22:00登録)
変質者に誘拐された10歳の少女たちを巡るサイコサスペンス。

最後の最後で判明するトリックが、感動を呼ぶという仕掛けは、本当に素晴らしいのですが、いかんせん長すぎ、登場人物多すぎ、そして何より犯人がどうでもよすぎ。

こんなどうでもいいことに描写を費やすのなら、もっとここを詳しく描け、みたいな部分も多々。
そのへんが整理されていたら、文句なしの大傑作になっていた気もしますが、冗長・散漫なところもある内容でも、なんだかんだ言って読ませて、感動させるんだから、地力のある作家だとは思います。

No.2 7点 kanamori
(2010/12/25 12:58登録)
これは、ミステリの体裁を借りた一種の”クリスマス・ストーリー”だと思う。子供が主人公で最後に奇蹟が起るという、その定型にそっていますから。
二人の少女の誘拐・監禁事件、クリスマスをデッド・ラインとしたタイムリミット・サスペンスとして読んでいくと、解説で言うように最後に「こういう話だったのか!」と唖然とすることになります。
miniさんが書かれているように、文章がとっつきにくいのが難点(作者の持ち味?)で、地の文と内面描写が混然一体となっていたり、会話の意味が数行先まで読まないと分からないなど、最初はサクサク読めないですが、自然と読み心地がよくなるのが不思議な感じでした。

No.1 7点 mini
(2009/12/25 09:44登録)
* 季節だからね(^_^;) *
実は原題を直訳すれば『囮の子』なので英語の原題名にクリスマスの文字は無い
ネットなどの書評を見るに、”原題より日本版訳題の方がずっと良い”という指摘が多いが、私はその意見には反対論者なのだ
訳題はこの作品の最大の仕掛けを強調しているのだろうし、各種書評もその部分だけしか見てない気がする
しかしメインの仕掛け以外に、終盤まで真相を引っ張る他のもう一つの無視出来ない謎がある
重要な女性登場人物の”顔の傷”の謎なのだが、原題はこっちの謎にも意味を掛けているのは明らかで、訳題ではこの意図が伝わらない
だいたいさぁ、この翻訳題名ではネタバレだろ(微笑)
一見平凡に見えるが『囮の子』という原題の方が適切である

この作品は悪く言えばいくつも欠点がある
特に文章が読み難いのは弱点で、時制が錯綜したりとか表現がすっと頭に入ってこない場面が多々あった
採点は本来なら8点でも良いが、文章の欠点で1点減点だ
通常のミステリーなら当然メインとなるはずの真犯人の正体は全くもって平凡で、フーダニットという観点だけで見たら評価は無理だが、この作品の真価は犯人探しではない
それと一体誰が主人公なのか良く分からず、話が散らばっている構成も難だが、まぁこれは特定の一人の主人公を設定しないのが最初からの狙いでもあるだろうから良しとしよう
それでもだ、数々の欠点が有りながらも魅力的な作だ
単なる仕掛けのための仕掛けにならず、最後まで読むと大きな感動が待っているのは賞賛したい
10年後でもクリスマスが来るたびにこの作品を思い出すだろう

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