死のようにロマンティック |
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作家 | サイモン・ブレット |
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出版日 | 1986年02月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 6点 | 斎藤警部 | |
(2024/08/10 23:54登録) “わたしはマデレーン・セヴァン、その美貌で男を狂わせることもできる女なのだ。” ポケミスの帯に『危険な三角関係』の煽り文句ありますが、実際には五角関係(男三女二)の恋愛模様が登場します。 但し犯罪レベルで危険な域に達するのは、やはりその中の "歳の差" 三角関係に限られます(?!)。 いやいやいや、これは阪神タイガース優勝年の’80年代ミステリですしね、やたらな事は何も言えません。 さあいったい何があったんでしょうねぇ~~ 「そのう、セックスを」 (← これはヤバかったです。電車の中で噴き出すのをこらえました) 「ストレートで」 あっという間に読めちゃうところは長い短篇のようだけど、短くとも長編の長さなればこその欺瞞が本作には埋め込まれているのだと思います。この「ネタ」を50頁ほどで纏められても、ちょっとねえ。 まさかあの人がそこまでやばい奴だったなんて。。思わないですよね、普通。 しかし或る人物の●の病気が、そんな決定的な仕事をする事になるとはな。 これは小技に属するナニだとは思いますが、結果的にこれが有ると無いとでは大違い。なし崩しファンタジーめいた結末の中心に、一条のリアリティ軸を差し込んでいるわけでね。 終盤へ近付くにつれ、その上空を旋回しつつ、ごく短い「第一部」に何度も立ち返ってしまう。「第二部」のドタバタ青春コメディ(?)とは一線を画する、あからさまに殺人ミステリな、その出発点へと。 核心の部分で明らかにおかしい、と物語が突然に自ら暴露して、そこからカタストロフに至るまでの妙に余裕ある持たせ具合、ここがいいんだよな。 あせらなくてええんよ、●●トリックは、って優しく言われてるみたいでね。 まあ、最後はなかなかの人生劇場を晒して終わりますね。 「今、チャイルド・ハロルドが生きていたら、きっとシンナー遊びに夢中になると思うけど?」 日本の某有名作が本作にインスパイアされてると言われる様ですが、たしかに、真似でもパクリでもなく、インスパイアされた原石を上手に磨き直してドラスティックに再構築させたものだと思います。 原題の誤直訳のような「邦題」は内容にまるで合ってませんが、書店で手に取らせるには(帯惹句との合わせ技もあり)勢いでオッケーってなとこだったんでしょう。 |
No.3 | 5点 | ボナンザ | |
(2017/05/29 21:25登録) これまたアイルズの犯行以前のようなテーマでありながら、彼とは違った方向性のブラックユーモア漂う良作。 地味に叙述トリックが使われていますが、それほど衝撃的とは言い難いかも。 |
No.2 | 6点 | 蟷螂の斧 | |
(2013/09/06 17:23登録) 3人の主な登場人物の性意識をメインに語られ、特異な感じのする叙述サスペンスでした。プロローグで、殺人が語られ、誰が殺されたのかは推測できません。(ある程度のミスリードはあるのですが・・・)ラストは、皮肉が利かされていました。 |
No.1 | 7点 | こう | |
(2008/10/19 23:03登録) サスペンスの佳品でした。折原一氏推薦のあった本の一つですが折原作品にも似た雰囲気のある作品でした。 登場人物がただ一人として感情移入できない「おかしい」人々のみなのはそっくりです。 冒頭に殺人により誰かが殺されたことが明かされ、その後時間が遡りキャラクター紹介がされ30代まで未婚の教師マデレーンと彼女に恋する男子生徒ポール、マデレーンと急接近する新任教師バーナードの3人がメインキャストで物語が進行してゆきます。 最後の展開、エピローグの切れ味は現代では新鮮な驚きはないと思いますが皮肉も効いており良くできていると思います。ただし読んで「楽しい」小説ではないかもしれません。 |