血統 競馬シリーズ |
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作家 | ディック・フランシス |
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出版日 | 1975年10月 |
平均点 | 5.67点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 5点 | ことは | |
(2024/08/26 01:12登録) フランシスをつづけて読む。今度は初期の頃の作を手にとる。 本作、ハヤカワ・ミステリ文庫「名門」の池上採点表では満点だが、失敗作だと思う。 主人公がある願望をもっている設定だが、それが実感をもつところまで掘り下げられないので、どうも惹きつけられない。 ストーリーは、あまり紆余曲折なく一本道で、簡単に犯人にたどりつきずきだし、主人公のピンチの場面も、定型のためハラハラしない。 ラストになると、主人公とある人物の関係に焦点があたるが、そこまで二人の関係を描いてきていないので(主人公と他の人物との関係のほうが丁寧に書かれていると思う)、胸に迫ってこない。 描写がよく、いいシーンもあるので、つまらなくはないのだが、それらをうまく活用できていないと思う。 あと、本作、冒険小説風味よりハードボイルド風味が強い。池上さんは、各種書評から、きっと冒険小説風味よりハードボイルド風味が好きだと私は思っているが、だから本作が好みにあって満点だったのだろうなと思う。 |
No.2 | 6点 | tider-tiger | |
(2019/03/03 09:18登録) ~日曜の朝、英国諜報部員ジーン・ホーキンスの三週間の休暇がはじまる。ジーンの頭には死への誘惑が渦巻いている。休暇は安らぎどころか、もっとも忍耐を要す期間になりそうだ。ところが、目覚めて30分もしないうちに上司から舟遊びに誘われる。平和だがいささか気詰まりな時間、そこで事故が起こる。川に転落しそうになっていた若い男女を救おうとしたジーンさま御一行だが、ジーンの上司の友人が救助活動の際に頭を強打して失神、川に転落してしまう。間一髪でジーンは彼を救出したのだが、ジーンはそれが事故を装った殺人だと確信していた。~ 1967年イギリス作品。 しつこいですが、今回は池上冬樹氏の採点で最高得点(☆が5個)だった二作のうちの一作を取り上げます(もう一作は『興奮』)。 ネットでさらっと本作の評判を洗ってみたところ、傑作と評す方は池上氏だけではないようです。本作の面白さは理解できるのですが、私自身はそこまで高くは買っておりません。 自殺願望(希死念慮というべきか)のある英国諜報部員という設定。この自殺願望が物語とうまく絡み合っていないように思えます。 ダウナーな主人公が上司の後押しで復活していく構図は『大穴』の変奏ともいえそうです。ただ、作者は元騎手だけに肉体の欠損に怯える姿は真に迫ったものでしたが、希死念慮なんてものは無縁な人生だったのでは。そこをきちんと取材で補うのがフランシスですが、本作は取材不足だったのではないかと勘繰ってしまいます。 主人公の人物像はいいんです。ただ、設定が足を引っ張っている印象。 この手の失敗はフランシスには珍しいと思います。 脇役は相変わらずうまいですね。序盤で殺害されかけた男の妻などはいい感じです。 筋運びも悪くないし、フランシスらしい良さも随所に折り込まれております。面白く読める作品です。が、個人的にはフランシスの標準作という評価に落ち着きます。 |
No.1 | 6点 | 空 | |
(2011/10/16 08:06登録) 本作の主人公は英国諜報部員ということで、フランシスには珍しく、捜査の専門家です。休暇中に上司の友人から依頼された事件とはいえ、巻き込まれ型ではありません。アメリカを舞台に、盗聴器などを駆使して、敵に迫っていきます。 有名な種馬の失踪事件ですが、犯人としては自分の持っているのがその名馬であることが人に知られては困るわけですから、金に換えることができない。となると、動機は何か、というのが第1の謎です。もうひとつの謎は、馬を盗まれた依頼人を殺そうとまでした理由は何か、とういうこと。どちらもきれいに解決はしているのですが、まあたいしたことはありません。 ではアクションの方はというと、偶然を利用してラストで盛り上げてくれてはいますが、今までに読んだフランシスの他の作品と比べると、さらにもう一山あってよさそうなところです。 主人公のキャラクターを始めとした登場人物の描き方はさすがですが、点数は少し低めで。 |