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ミステリの祭典

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わが職業は死
アダム・ダルグリッシュシリーズ

作家 P・D・ジェイムズ
出版日1981年01月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 レッドキング
(2023/11/14 11:53登録)
犯罪証拠を検査判定する研究所を舞台にした殺人事件。始めから、Whom:被害者が誰になるかは明らかで、容疑者達に如何に納得できる動機があるか詳述されて行く。固陋・頑迷・小心な科学者達より、女達のキャラ・・猟色家の美女、愛されて育った愛すべき娘、愛されずに育った狷介な女、人好きしない女流作家、病的な少女(この娘の将来を憂える)、哀れっぽい街娼・・女達のキャラ描写がユニーク。秘儀的情事・兄妹相姦・レズビアン等の爛熟した珍味を醸しながらも、直球・・「捻り」さえストレート・・で進行するWhoダニットミステリ。

No.2 6点 nukkam
(2016/05/17 19:42登録)
(ネタバレなしです) 1977年発表のダルグリッシュシリーズ第7作です(出番の少ない「女には向かない職業」(1972年)もシリーズ作品としてカウントしてます)。1970年代には4作品が発表されていますが、この時期の作品は登場人物が感情を抑制したような態度をとることが多くて感情移入しにくく、重厚で晦渋な描写とあいまって私の読解力ではとにかく読みにくかったのですがその中で本書は(あくまでもジェイムズ作品としてはですが)読み易いです。まず被害者がいかにも恨みを買いそうな嫌な奴だということが最初からストレートに伝わっています。そしてある人物が密かに抱いた復讐心や、別のある人物が終盤であげた悲痛な叫びなど感情をむき出しにする場面が随所にあります。派手な謎解きではありませんがちゃんと犯人当て本格派推理小説のプロットになっています。ただハヤカワ文庫版の粗筋紹介で「密室」を強調しているのは的外れだと思います(不可能犯罪の謎解きを期待してはいけません)。

No.1 6点 Tetchy
(2009/01/18 19:41登録)
本作は非常にオーソドックスな作りになっている。ジェイムズのミステリ公式に則って、創作された、そんな感じだ。

事件が起き、ダルグリッシュが登場し、関係者一人一人に尋問。しかも登場人物それぞれが重苦しい何がしかの不幸を孕んでいる。ダルグリッシュが捜査を続けていると第2、第3の事件が発生、そしてカタストロフィへ…てな具合だ。

この定型を固執するがため、それぞれに個性が感じられなくなってきているのも確かで、本作においては特にその志向が強い。

ジェイムズには読後、良きにせよ悪きにせよ、いつも心に何かが残るのだが、本作に関してはその辺が全くない。
多分1ヵ月後にはどんな話だったか忘れてしまうだろう。

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