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ミステリの祭典

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フォーチュン氏の事件簿
フォーチュン氏

作家 H・C・ベイリー
出版日1977年09月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 ボナンザ
(2022/04/09 22:42登録)
これは埋もれた良作集だと思う。知られざる殺人者はダブルミーニング?
復刊に伴い評価されてほしい一冊。

No.1 7点
(2018/06/11 11:47登録)
「ええーまだこれ誰も採点してなかったんですか? アブナー伯父シリーズ並みにむっちゃ面白いのに?」
 とのっけからかましてみましたが、まあ分からんこともないです。私も実際に読むまでアウトオブ眼中でしたし。
でも読んでみて評価が変わりました。まずしょっぱなの「知られざる殺人者」が強烈です。
 婚約者と共にある孤児院のパーティーに赴いたフォーチュン氏。院長に迎えられ、しばし楽しい時を過ごすも施設内で突然起こった悪夢のような殺人。
喉をかき切られた女性医師にはこれほど残酷に殺される理由は何もなく、さらにフォーチュンは現場に残された証拠から、犯人の異常な行動を知る。
他の訪問客を当たるも一向に進展を見ない捜査。さらに続けて来客の一人の息子に砒素が投与される。ぼやけた事件が、フォーチュン自身を襲うショッキングな出来事と共に一気に焦点を結ぶ…! 
 発表年代を考えるとこれ凄いですね。一種ハードボイルドに似た味わいがあります。
 あとベイリーは子供が出てくると面白いです。同収録の「小さな家」はそれほどでもないですが、紙幅を取った「聖なる泉」はこの短編集では「殺人者」に次ぐ出来です。短編以上中編未満の中途半端な枚数の作品に傑作が多いのが、日本で翻訳されず知名度が低い一因でしょう。
 他にも経済犯罪の「ゾディアックス」書誌ミステリの「羊皮紙の穴」などバラエティに富んでます。全体に同時期の他英国ミステリ作家とは切り口が異なる感じです。
これに別アンソロジー収録の「黄色いなめくじ」「長いメニュー(個人的には「なめくじ」よりこっち)」を加えれば、十分にマスターピース候補短編集と言っていいでしょう。両作品の分だけ点数はさっぴいておきますが。
 短編長編とりまぜてベイリーにはアホ程未訳作品が残されてますので、個人的に今後の翻訳に期待する作家の一人です。「フォーチュン氏を呼べ」以降の作品も論創社でやってくんないかな。

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