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ミステリの祭典

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目撃者を捜せ!

作家 パット・マガー
出版日1988年11月
平均点6.00点
書評数4人

No.4 6点 E-BANKER
(2014/11/06 21:07登録)
五作発表された作者の初期長編のうちの第四作目。
「被害者を捜せ」「探偵を捜せ」の次は「目撃者を捜せ」というわけか・・・
1949年発表。

~新聞記者のアンディは社命でリオへ赴く途上にあった。貨物船による長旅、戯曲でも書いて過ごすつもりだったが、乗り合わせた人々は皆それぞれ秘密を抱いているらしく、交わす言葉にも奇妙な緊張感が漂っている。やがて不安は現実のものとなった。乗客の一人が殺害後海へ突き落とされる事件が発生。動機の点で犯人の正体は明瞭だった。が、状況からして存在するはずの目撃者が一向に名乗りを上げない。新たな殺人を恐れたアンディは閉ざされた船上で密かに目撃者捜しを開始した~

なかなか捻りの効いた佳作という評価。
ただ、正直コウルズ夫妻による謎解きが始まるまでは、「ちょっと退屈」という感じになっていた。
とにかく、主人公であるアンディの捜査が的外れというか、なかなか核心に到達しないダラダラ振りなのだ。
(一種の船上ミステリーでもあるわけで、乗客ひとりひとりの“人となり”を丁寧に書いてくれてるのはいいんだけど・・・)

その分逆に、ラストの捻りにやられた感を強く感じることになるのかも。
まぁサプライズというほど大げさなものではないのだけど、これこそ王道の「ミス・ディレクション」と呼びたい。
「なぜ目撃者が名乗り出ないのか?」という本作最大の謎が解き明かされる瞬間の刹那。
これこそが本作の白眉。

これで初期五部作のうち三作を読了。
多少のレベル差はあるけど、やっぱりアイデア&プロットの妙という評価がピッタリ当て嵌る。
残り二作も楽しみにするとしよう。
(これほど主役がコケにされる作品も珍しい・・・)

No.3 6点 kanamori
(2011/04/14 16:42登録)
貨客船からの転落死が、状況からある人物による殺人とみなされるが、いるはずの目撃者がなぜか名乗り出ない。
次々と捻った設定の作品を書いたマガーの第4作は、船上というクローズド・サークル内の”目撃者捜し”。小品ながら、タイトルを始めとしてミスディレクションが効いた佳作でした。

No.2 6点 nukkam
(2010/12/02 09:18登録)
(ネタバレなしです) これまで被害者探しや探偵探しといった変わった趣向の本格派推理小説を書いてきたパット・マガーの1949年発表の第4作は目撃者探しを主目的にした、これまた前例のないプロットです。本格派推理小説における主人公は探偵、犯人、被害者であり、脇役的存在の目撃者に光を当てているのは確かにユニークだとは思いますが、これが魅力的な謎かというとやや疑問ではあります。とはいえ迷走する推理が生み出すユーモアは強烈で、暗い作風の「七人のおば」(1947年)や「四人の女」(1950年)とは違った作者の一面を見せています。

No.1 6点 mini
(2008/10/21 11:43登録)
マガーで一番読まれていないのがこれだろう、他は全部読んだが「目撃者を捜せ!」だけ読んでないという人も居るかもしれない
マガー得意の過去回想の語りパターンではないので代表作には推せないが、全く無視されているのが不思議なくらい実は「目撃者を捜せ!」は面白い
犯人探しに比べて目撃者探しだから面白味に欠けるなんて印象は私は全く感じなかった、むしろこの設定だと、目撃者探しだからこその興味が湧く
なぜ目撃者が名乗り出てくれないのか?それが真相とどう関わるのか?おっとこれ以上はネタバレになる

代表作と目される「被害者を捜せ!」「七人のおば」のような作者ならではの設定上の特殊性には乏しいが、ミステリーとして謎解き上の技巧では「目撃者を捜せ!」の方がむしろ上ではないかと感じるのは私だけか
少なくとも変化球を狙ってみたが、実は従来の犯罪サスペンスの形式そのまんまに陥っている「探偵を捜せ」みたいな凡作よりはこっちの方が数段面白い

まぁたしかに逆に見れば普通の謎解きミステリーなので、マガー本来の持ち味には欠けるが、マガー”らしさ”という面を求めなければ気の利いた佳作である
特に探偵役の夫婦がほのぼのと良い味出していて、これ1作だけの登場なのが惜しい
マガーの未訳作の中にこういう癒し系路線の作があるのだったら読んでみたい気がした

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