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ミステリの祭典

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灰色のためらい
87分署

作家 エド・マクベイン
出版日1965年01月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 クリスティ再読
(2023/11/11 17:13登録)
「87シリーズで最初に読んではいけない本」として有名な本(苦笑)
異色作だとか呼ばれることも多いけど、これって「外伝」みたいな本、と捉えるのがいいと思う。お馴染みの刑事たちもキャレラ・ウィリス・ホース・マイヤーなど登場しないわけでもないが、チョイ役程度に、あくまで外側から知らない人が眺めた程度で描かれるだけ。でもキャレラとティデイのデートの熱々っぷりにアテられる。
で、話は街に出てきた大男ロジャーが、何かの犯罪を犯したらしく、それを自白しに警察に出頭しようとして...でグズグズする話。それをシンネリとやっていく。でも、何をしたのかはずっと不明のままで、街で引っかけた女性との関係にあるような....だけど、翌日また黒人の女の子をロジャーはひっかけてしまう。ロジャーの犯罪は?この女の子の身が案じられるが?ロジャーはちゃんと出頭するのか?

そうしてみると、ちゃんとサスペンス系のミステリになっているじゃないの。このロジャーくん、大男のくせにマザコン気味の田舎者。だからちょっとしたサイコスリラー要素も感じたりもしたなあ。長いシリーズ、たまにはこんなのが紛れ込んでいる、というのもオツなものだと思うよ。
(あと言うと、原題は「ためらう男」くらいの意味だけど、わざわざ「灰色」をつけるあたりが、とっても日本的なセンスだと思う)

No.2 6点 tider-tiger
(2017/11/12 21:14登録)
手作りの木工品を売りにニューヨークに出て来たロジャーは下宿屋で目を覚ます。
冬のニューヨークは寒い。木工品はよく売れた。母さんは元気にしてるかな。
あ、そうだ。警察に行かなけりゃいけないな。

87分署シリーズ最大の異色作。そもそも87分署シリーズを名乗る資格があるのかってくらいの作品。87分署の刑事は幾人か登場するも、能動的に動くことはない。
ロジャーがなぜ警察に行かなくてはならないのかが、良く言えば腰の入った文章でじっくりと描かれる。悪く言えばウダウダグジグジ優柔不断なロジャーに付き合わされる。「この野郎いい加減はっきりしろ」と怒鳴りつけてやりたくなるも、いつのまにか引き込まれている。そして、結論が先延ばしにされることを望んでさえいる自分に気付く。だが、ロジャーの不可解な一面と警察に行かなければならない理由が少しずつ明らかにされてしまう。
意外性はあまりなくて、起伏も少なくエンタメとしては弱い作品かもしれない。
それでも個人的には好きな話で、マクベインの違った持ち味、うまさを感じられたのも収穫だった。そつなく書くだけの作家じゃないんだなあと。ただし、オチはどうも気に入らない。

やっぱり会話が自然でうまいなあ。別に気の利いたセリフもないただの男女の会話の中に登場人物の息遣いが聞こえる。
海外、特にアメリカの作家は会話がうまい人が多い(ような気がする)。
日本人作家が海外の作家に劣る点があるとすれば、それは会話だと思っている。無理をしている感じがしたり、ただひたすらつまらなかったり、ひどく不自然だったり。
※あくまで個人の印象です。また、日本の作家が海外の作家に劣るなどとは微塵にも思っておりません。

No.1 6点
(2014/12/04 22:38登録)
マクベイン2作目にして、妙な小説を読んでしまいました。87分署シリーズ中の異色作と作品紹介には書かれていますが、むしろスピンオフ作品と言った方がいいでしょう。
正直なところ、ジャンル分けには迷いました。まずシリーズ本来の警察小説では全然ありません。なにしろレギュラーの刑事たちはちょい役でしか出てこないのです。まあスティーヴだけは(本作では姓は書かれていません)、ある役割を果たすのですが、それも小説構成上の問題であり、ストーリーを進める上で絶対必要なわけではありません。ミステリとさえ呼びにくい内容ですので、その他にしようかとも思ったのですが、警察署に行くことをためらう主人公の行動と心理を追った心理小説風ということで、とりあえずサスペンスとしてみました。もう一つ考えられるジャンルには入れない方がいいと思うので。
主人公とデートするアメリアがなかなか魅力的です。

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