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ミステリの祭典

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花の下にて春死なむ
『香菜里屋』シリーズ

作家 北森鴻
出版日1998年11月
平均点6.92点
書評数26人

No.6 8点 こもと
(2008/04/28 22:13登録)
 「とっておき」という言葉を口にする時、私は少しの誇らしさと、「秘密にしておけば良かった」というささやかな後悔の念、そんな二つの感情に襲われる。 そしてきっと本書を読めば、ビアバー「香菜里屋(かなりや)」に集う常連客の中にも、それは見え隠れする感情だとわかっていただけると思う。
 ビアバー「香菜里屋」を舞台に、マスター「工藤」を探偵役に配した、安楽椅子モノで構築された世界は、本当にお見事。 工藤が供する極上のメニューと、気の利いたサービス・・・一言で言えば「居心地の良い」こんな空間に身を置いて、小さな謎と向かい合うことが出来れば、それはもう至福の時と言えるでしょうね。
 度数の違う4種類のビールと、マスターの人柄、そして6つの謎・・・すべてに「酔える」連作短編集です。

No.5 8点 ひこうき雲
(2007/05/31 21:56登録)
6作の連作短編集。美味しい料理で振る舞ってくれる温かい主人工藤のお店「香菜里屋」。そこに集うお客にまつわる出来事、事件の謎が解き明かされていく。美味しそうな料理とやさしい雰囲気は、『メインディッシュ』同様、ここにもあり。

No.4 9点 テツロー
(2003/05/03 23:36登録)
 良いですね。安楽椅子探偵物として、それに日常の謎ミステリとして、秀逸な出来だと思います。日常の謎は厳密には半分しかないけど。ただ、実際自分的には、北村薫の「円紫師匠と私」シリーズを彷彿をさせるものでした。
 「終の棲み家」と「殺人者の赤い手」は、話のモチーフ自体は良かったんですけど、謎解きに少々無理があるように思いました。良かったのは表題作と「魚の交わり」ですかね。話の出だし、展開、締めと、全て収まるところに収まったと言う感じで。
 登場人物が多数入れ替わりで描写されてるのも、粋な計らいだと思います。

No.3 8点 じゃすう
(2003/03/12 02:16登録)
文章と情景を「味わえる」作品です。
安楽椅子探偵ものの雰囲気としても抜群ではないかと。

No.2 9点 けるる
(2002/05/28 22:41登録)
きっと、ミステリでなくとも高い評価を得ると思う。
非常に綺麗にまとまっていて、文章力も高く、ストーリーもじっくり練りこまれている。
『傑作』というよりも、『秀作』と呼ぶにふさわしい作品。

No.1 8点 由良小三郎
(2002/05/27 18:53登録)
安楽椅子探偵物です。酒場の主人が店に持ち込まれる日常の謎を解いてみせるという極めてオーソドックスな造りですが、最初と最後に1人の人のわざと埋もれた悲しい人生をおくなど格調の高い秀作だと思いました。

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